金融庁、暗号資産扱う課など5課新設

金融庁は2026年8月7日付の組織再編で、国際課、信用課、郵政金融課、資金決済課、暗号資産・ステーブルコイン課の5課を新設した。従来は参事官室として扱われてきた組織を課に格上げする措置で、なかでも暗号資産・ステーブルコイン課は、暗号資産(仮想通貨)やステーブルコインを扱う事業者の監督を専門に担う新しい課だ。国際課は海外当局との連携やマネー・ローンダリング対策を、信用課は信用制度やデジタル・分散型金融に関する企画を、郵政金融課は郵便貯金や郵便保険を行う金融機関の監督を、資金決済課は資金決済サービスや金融サービス仲介業などを行う事業者の監督を、それぞれ引き継ぐ。

監督局を2局に分割、次長も新設

今回の5課新設は、より大きな枠組みでの組織再編の一部である。金融庁は同じ8月7日付で、総合政策局と監督局を「銀行・証券監督局」と「資産運用・保険監督局」の2局に再編し、官房機能を統括する「次長」ポストも新設した。金融庁組織令の一部を改正する政令が同日施行されることに伴う措置である。

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従来の監督局は、銀行と証券の両業態を担当する「銀行・証券監督局」に改称した。総合政策局が担ってきた資産運用会社や保険会社の監督機能は独立させ、新たに「資産運用・保険監督局」を設けた。あわせて「総括審議官」の名称を「監督総括審議官」に改め、両監督局と連携しながら業界横断の課題に対応する体制とした。

AI進展や資産運用立国実現が背景

金融庁が今回の再編に踏み切った背景には、生成AI(人工知能)などデジタル技術の急速な進展、資産運用立国の実現に向けた取り組み、金融機関で相次ぐ不祥事や不正への対応といった課題がある。資産運用立国とは、家計に眠る現金や預金を投資に振り向け、企業価値向上の恩恵を家計に還元する好循環を目指す政府の政策だ。片山さつき財務大臣兼内閣府特命担当大臣(金融)は2026年7月31日の記者会見で、こうした課題にきめ細かく、効率的かつ効果的に対応できる体制を整えるために監督部門を再編したと説明した。

伊藤豊長官は留任、新体制始動

幹部人事も同時に発表された。伊藤豊金融庁長官、三好敏之金融国際審議官、井上俊剛企画市場局長、尾﨑有国際総括官はいずれも留任する。新設の銀行・証券監督局長には石田晋也氏(前・監督局長)、新設の資産運用・保険監督局長には堀本善雄氏(前・総合政策局長)がそれぞれ就いた。新設の次長には柳瀬護氏(前・総括審議官)、新設の監督総括審議官には岡田大氏(前・政策立案総括官)が就任した。

実務面で押さえておきたいのが、再編前に作成された文書の扱いだ。8月6日以前に総合政策局、企画市場局、監督局が作成した文書は、旧組織名が記載されていても引き続き有効となる。8月7日以降にこれらの局宛てに旧名称で申請書類を提出した場合も、無効にはならない。ただし、これから新たに申請や届出を行う際は、金融庁が公表した新旧対応表に沿って、再編後の担当部署へ提出する必要がある。不明な点があれば、対応表を確認したうえで担当部署へ問い合わせるとよい。

なお、証券取引等監視委員会、公認会計士・監査審査会、財務局の組織や所掌事務に変更はない。金融庁は今回の再編を通じて、資産運用立国の実現やデジタル化への対応、金融機関監督の高度化を加速させる考えだ。2026年8月7日に新体制が始動した後、各局がどのように役割分担を機能させていくかが今後の焦点となる。