岸田総理所信表明演説 訪日外国人旅行消費額5兆円の達成目指す

岸田文雄総理大臣は2022年10月3日、衆議院本会議で所信表明演説を行った。「足元の物価高への対応に全力をもって当たり、日本経済を必ず再生させる」と述べ、円安のメリットを活かしてインバウンド観光振興や製造業の国内回帰、農林水産物の輸出拡大などを図るほか、スタートアップ振興やDXへの投資拡大を進める方針を示した。 

観光では、インバウンド観光を復活により、訪日外国人旅行消費額の年間5兆円超の達成を目指す。全国旅行支援やイベント支援も再開し、コロナ禍からの需要回復・地域活性化を図る。

成長のための投資と改革では、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX(グリーントランスフォーメーション)、DXの4分野に重点を置く。スタートアップを今後5年で10倍に増やすために、公共調達における優遇制度の抜本拡充、税制上の優遇措置や資金面の支援に加え、若く優れたIT分野の才能の発掘・育成、日本と海外のスタートアップ・エコシステムの接続などを進める。 

DXは、マイナンバーカードの健康保険証との一体化など利便性の向上を飛躍的に進め、全国民への普及のための取り組みを加速するとともに、地域でのデジタル技術の社会実装を重点的に支援する。メタバース、非代替性トークン(NFT)を活用した「Web3.0サービス」の利用拡大に向けた取り組みも進める。

人材を成長分野に移動させるために学び直し(リスキリング)の支援策の整備や、年功制の職能給から職務給への移行など、企業間・産業間での労働移動円滑化に向けた指針を23年6月までに取りまとめる。特に個人のリスキリングに対する公的支援は、5年間で1兆円のパッケージに拡充する。

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衆議院本会議で所信表明演説を行う岸田総理(出典:首相官邸)