コロナ禍で変わる起業環境 売上や従業員数の減少が顕著に
日本政策金融公庫総合研究所が例年11月に公表する「新規開業実態調査」。2020年度の調査では、開業者の8割がコロナ禍によってマイナスの影響を受けたと回答。売上や平均従業員数の減少が顕著で、事業の立ち上がりスピードの遅延が懸念される。
「新規開業実態調査」は、日本政策金融公庫総合研究所が1991年度から毎年実施しており、2020年度は1,597社が回答した。回答企業の開業からの経過月数は平均13.8カ月。調査は今年7月に実施したため、結果にはコロナ禍の影響が色濃く表れた。
調査時点の平均従業者数(図表1)は前年度から0.7人減少し、平均3.9人となった。項目別に見ると、パート・アルバイトや正社員の数が減少していることがわかる。日本政策金融公庫総合研究所小企業研究第一グループの青木遥氏は、「現在の売上状況が減少していると答えた開業者の割合も大きく増えており(図表2)、社員やパート数の減少は明らかにコロナ禍の影響と考えられます」と話す。なお、開業費用の平均値は989万円と調査開始以来最も少なくなったが、開業費用の少額化は長期的な傾向であり、コロナ禍の影響とは異なるという。
図表1 調査時点の平均従業者数
図表2 現在の売上状況
図表3 現在の採算状況
「現在苦労していること」(図表4)では、前年度に比べ「資金繰り、資金調達」を挙げる企業の割合が減少したが、「財務・税務・法務に関する知識の不足」を挙げる企業が大きく増加した。国や自治体、金融機関がコロナ禍に苦しむ企業にさまざまな融資・助成金を用意したことで資金繰りが安定した一方で、これらの申請に必要な財務知識等に苦しんだ企業が増えたと考えられる。今後、行政等の支援強化が求められる分野だろう。
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