小学校英語教科化の最前線

グローバル化の進展の中で、英語教育の早期化が加速している。児童英語教育の先駆者、mpi松香フォニックスは、「音声インプットを繰り返すことで、5、6年生でもスピーチができるようになる」と語る。小学校英語のポイントを聞いた。

全国パートナーkidsコンテストでは、小学生が500名の観客の前で英語プレゼンを行う

2020年度から小学校5、6年生の英語教科化がスタートする。文部科学省が英語教育の早期化を急ぐのは、英語力の向上を国の戦略課題と捉えているためだ。しかし現場では、授業時間の確保や英語を専門としない学級担任の指導力などの課題があり、質の高い指導体制が求められている。

山積する課題を乗り越える手立てはないものか。大阪府教育委員会(現:大阪府教育庁)と府内公立小学校向け英語学習プログラム「DREAM」(府外では「小学校英語SWITCH ON!」として同社が販売)を共同開発するなど、20年にわたり小学校英語サポート事業に注力してきたmpi松香フォニックス(以下、mpi)の竹村千栄子社長は、小学校英語教育のポイントを次のように話す。

「日本の英語教育はインプットと繰り返しが圧倒的に不足しています。絵本を何度も読み聞かせることで日本語を覚えていくように、毎日15分程度でも英語の音を聞かせ、歌を歌うなどして体に英語を染み込ませることが大切です。そうした良質な音声インプットの地道な積み重ねが自然なアウトプットにつながるのです」

竹村千栄子 mpi松香フォニックス 代表取締役 社長

9年間一貫カリキュラムで「英語のできる15歳」を育成

mpiの成り立ちは、創設者・松香洋子会長の子育て経験にもとづいている。子連れ留学をした3年間の米国生活で、松香会長はみるみる英語を習得していく我が子に驚嘆する日々を送った。その秘訣が小学校で習う「フォニックス」(綴りと発音の関係を学ぶ学習法)にあると知り、帰国後の1979年に同社を創設。子ども英語教室「mpiイングリッシュスクール本部校」の運営とパートナー教室の展開を皮切りに、英語教材の出版・開発、指導者養成セミナーの実施など、「おしえる・つくる・つたえる」の3本柱による事業体制を確立してきた。

なかでも、創設の礎であるmpiイングリッシュスクール本部校では、世界の同世代とコミュニケーションがとれる「英語のできる15歳」を目標に、小学校から中学校まで9年間の一貫カリキュラムを実施してきた。その特徴の一つが、自分の考えを堂々と英語で発表できる子どもを育てる「発表教育」である。

「普段のレッスンでの発表とは別に、年1回『全国パートナーkidsコンテスト』を開催しています。これはビデオエントリーを勝ち残った全国の生徒たちが、500人以上の観客の前で堂々とスピーチをしたり、審査員の即興による英語の質問に英語で答えるなど、9年間カリキュラムで学んできた成果を披露するイベントです」。幼児や低学年からインプット中心の学習を蓄積していくと、小学校5、6年生になれば英語で流暢にスピーチやプレゼンをすることが可能になるという。

図1 mpi松香フォニックスの3つの活動

 

図2 mpi松香フォニックスが実践している英語教育における年齢の目安

英語のできる15歳を目指して学習を進める

 

短時間学習の繰り返しで自然な英語力向上を実現

1993年からは小学校英語サポート事業を展開。年間指導計画・学習指導案の作成、教材及びカリキュラムの提案・開発、教員の研修、JTE(日本人英語指導者)・ALTと担任のティームティーチングによる指導プランといった幅広いサポートにより、mpiの支援校は全国2000校に達しており、支援自治体は100自治体に及ぶ。

「創設以来、開発し続けている英語教材は、mpiイングリッシュスクールズでの実践や、小中学校での20年間の指導経験が凝縮されています。現場の状況に合わせて、45分の授業プランを作ることはもちろん、10分~15分の短時間で活用できる教材の提案・開発も可能です」と竹村社長は自信を見せる。

教員の多くは、英語学習のプロセスとして、「日々新しい学びを得ることでレベルを上げていくこと」を理想に描くかもしれない。しかし、英語に多くの時間を割くことが難しいうえ、普段の生活環境で英語を使用しない日本では、そのようなプロセスは現実的とは言い難い。現場の実情を考慮すれば、「スパイラルメソッド」と呼ばれる繰り返し学習がもっとも有効な学習法だと竹村社長は言う。

「mpiによるスパイラルメソッドは、2~3回上手に歌えたら終わりではなく、さまざまな場面で同じ歌を歌ったり、歌詞をゲームで使用したり、歌の発表をさせたりと、同じ素材を繰り返し授業に取り入れていく方法です。これによりインプットを十分に与えながらも、螺旋階段を昇るように自然な形で英語の表現力をレベルアップすることができます」。

文部科学省は45分の授業の代わりに、1回15分程度を積み重ねていくモジュール学習を推奨しているが、スパイラルメソッドはモジュール学習(短時間学習)との親和性が高いという点も魅力的に映る。

年齢に適したトピックスで飽きずに自発的に学習

公立小学校の現場では往々にして実年齢にあった活動が求められるが実は英語には実年齢と英語年齢がある。英語年齢の低いものを使用しても実年齢にあった活動にすることでギャップを埋めることができる。日本の子どもに合った教材を各自治体と連携しながら提供している点もmpiの強みだろう。

「楽しいが身につく時期、ステップアップしていく喜びを感じる時期、自分を発信していきたい時期など、子どもは自身の成長に合わせて言語を段階的に習得していきます。mpiでは子どもの実年齢と英語年齢のバランスを見ながら、それぞれの年齢の子どもが進んで学びたくなるような工夫を散りばめています。小学校低学年から始めるのが理想的ではありますが、どの年齢からでも無理なくご活用いただけるプログラムを自在にご提案できます」

自分の考えを自分の言葉で発信できる真のグローバル人材は一朝一夕で育つものではない。教科化実施までの残り3年余り。各小学校での移行期間の準備がその後の成果を高めることだろう。

お問い合わせ

  1. 株式会社mpi松香フォニックス
  2. TEL:03-5302-1651
  3. mail:sales@mpi-j.co.jp
  4. URL:http://www.mpi-j.co.jp/
  5. 小学校英語サポート窓口
  6. mail:shogakkosupport@mpi-j.co.jp

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