スーパー公務員と考える、地方創生のポイント

鹿児島県長島町。人口約1万人の小さな自治体が、地方創生の最先端として注目されている。名産ブリにちなんだ「ぶり奨学金」、離島で塾合宿を行う「獅子島の子落とし塾」など、次々に打ちだされるオリジナルな政策の背後には、若手キャリア官僚、井上貴至氏の姿がある。

鹿児島県長島町 副町長 井上 貴至 氏

2015年4月、「地方創生人材派遣制度」の第一号として総務省から長島町に派遣された井上貴至氏。同年7月には副町長に就任、史上最年少の副町長として、長島町の地域活性化を進めている。

役場の副町長室には駄菓子が並び、長島町応援団と書かれたホワイトボードに名刺がズラリと並ぶ。学校帰りに駄菓子を食べによる中学生をはじめ、毎日、様々な人が入れ代わり立ち代わり副町長室を訪れる。

井上氏は「大切なのは、人と人との繋がりです。役場自体がオープンイノベーションになっているのです」と話す。

地域の外と中を繋ぐ人材が必要

大阪出身の井上氏は2008年に東京大学法学部を卒業後、総務省へ入省。学生時代、「徹底的に現場へ行くこと」をたたき込まれた井上氏は、「平成の伊能忠敬になる」と、地域の現場を歩き周った。「地域には、面白い活動をしている隠れたヒーローがたくさんいて、そうした人同士を繋いでいくことで、新しいものが生まれる予感がしました。僕が“地域のミツバチ”となって飛び回ることで、新しい花を咲かせられないかと思ったのです」

そんな折、地方創生の大きな波が到来。井上氏は自ら発案した「地方創生人材派遣制度」の第一号として長島町に派遣された。この制度は、官僚や大学教授などを小さな市町村に派遣する制度。「小さな市町村に足りないのは、お金ではなく人材。地域の中と外を繋ぐことのできる人材なのです」

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