ELNET、NTTドコモビジネス 新聞47紙を横断整理する「ELNET AI」を10月提供開始
新聞記事クリッピング大手のエレクトロニック・ライブラリー(ELNET)とNTTドコモビジネスは2026年9月29日、新聞社から許諾済みの新聞記事を情報源とする法人向け生成AIサービス「ELNET AI」を共同開発し、10月1日から正式版の提供を始めると発表した。4月から続けてきたパイロット運用を経ての本格展開となる。
企業には報道情報を素早く把握し、経営判断に生かしたいという需要がある。一方、従来のクリッピングサービスでは記事の読み込みや要点整理、社内向けレポートの作成を担当者が手作業で行うことが多く、負担の大きさと情報活用の遅さが課題だった。ELNET AIは、ELNETが蓄積してきた過去10年分の記事と当日の最新記事を生成AIと組み合わせ、この課題の解消を狙う。
「ELNET AI」では、チャット画面で質問を入力すると、全国紙から専門紙、ブロック紙、地方紙までを横断した回答を得られる。回答の根拠となった記事原文をその場で確認できるため、ファクトチェックも容易だ。正式版では、官公庁や自治体、企業の公式サイト、業界団体などの公開情報も補足的な情報源に加えた。さらに、毎朝配信される「モーニングクリッピング」などの契約中サービスと直接連携し、朝の収集記事をAIがトピックごとに整理する機能も新たに搭載した。ユーザーが入力したデータはAIモデルの学習には使わないという。
事業面で注目されるのが、特許出願中の収益分配モデルだ。回答にどの記事がどの程度貢献したかを分析し、その度合いに応じて新聞社・通信社へ対価を還元する。生成AIによる報道コンテンツの無断利用が問題視されるなか、コンテンツ提供者との持続可能な共生モデルを示す試みといえる。
開始時点の協力媒体は、朝日・読売・毎日・産経の全国紙4紙に加え、日刊工業新聞などの専門紙、京都新聞などの地方紙、スポーツ紙、夕刊紙を含む新聞47紙と時事通信社。ELNETのクリッピングサービス契約企業向けのオプションとして提供し、価格は個別見積もりとなる。両社は今後、利用者の声を踏まえた機能改善と、対象媒体の拡充を進めるとしている。
ELNETは、新聞・雑誌記事の切り抜き、「クリッピング」を集めたデータベースの事業会社として、電通、朝日新聞社、読売新聞社、NTTなどを株主として1986年に設立された。現在は新聞、雑誌、WEBニュースのクリッピング、およびデータベースを企業や官公庁、大学などに提供。著作権許諾済みの蓄積記事は5000万件を超えている。

利用画面のイメージ。回答画面は、①生成データ と②記事原文からなる(日刊工業新聞 2025年12月16日付 掲載許諾済)