FRONTEO AI研究セキュリティシステムを開発、技術流出リスクを可視化
FRONTEOは、研究機関における技術流出リスクを高精度に可視化する「研究セキュリティ・リスクマネジメントシステム」のプロトタイプを開発したと発表した。内閣府「研究セキュリティ・インテグリティに関するリスクマネジメント体制整備支援事業」の一環で、同事業の委託先である国立健康危機管理研究機構(JIHS)から開発を受託したもの。同社の自社開発AI「KIBIT」を基盤としている。2026年4月13日に発表した。
FRONTEOはこれまでも、KIBITにより論文データを解析し、技術流出リスクを算出してきた(月刊事業構想2024年12月号参照)。今回のシステムの最大の特長は、解析対象となる論文データの圧倒的な網羅性にある。従来の商用データベースに加え、新たにオープンデータを統合したことで、対象論文数を約50万件から約2.8億件へと飛躍的に拡張した。これにより、医学・工学といった分野を横断する共著関係や研究活動の実態を広く把握できるようになった。
リスク可視化の面では、研究者名を入力するだけで論文共著者や所属組織、資金源などの情報を自動で収集・解析する「1クリック分析」機能を搭載。実証実験では、研究者の検索・同定からレポート作成までの時間を従来比で約90%削減することに成功した。対象研究者1人あたり1日以上を要していたデューディリジェンス業務全体も、約1時間に短縮できると確認できたという。
さらに、資金提供企業や共同研究先の株主支配構造(FOCI:Foreign Ownership, Control, or Influence、図参照)まで分析する機能を備え、外国政府の影響や制裁対象との関係性など、従来見落とされがちだった潜在リスクの検知も可能にした。
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近年、国際的な研究活動において技術流出や外国からの不当な影響が懸念されており、政府は2025年12月に「研究セキュリティの確保に関する取組のための手順書」を策定するなど対策を強化してきた。これに伴い研究現場では関連情報の確認作業が膨大となり、研究時間の圧迫や国際共同研究への参画意欲の低下が課題として顕在化していた。FRONTEOは「日本の科学技術は日本の技術で守る」をコンセプトに、JIHSおよび国立高度専門医療研究センター(5NC)と連携してシステムを開発した。
FRONTEOは今後、プロトタイプで得た知見をもとにセキュリティ強化やデータ品質の安定化を進め、実運用を見据えた製品版へのアップデートを加速する方針だ。将来的には、中核機関がハブとなってノウハウやシステム基盤を集約・提供する「機関間連携モデル(シェアード・サービス)」の構築を目指す。予算や専門人材が限られる中小規模の大学・研究機関でも、財政状況に応じた最適なプランで高度なリスク管理体制を構築できるようにする狙いだ。