在庫10年超の最高水準、米価も4割超上昇 農林水産省が2026年6月号マンスリーレポート公表
農林水産省は2026年6月18日、「米に関するマンスリーレポート(令和8年6月号)」を公表した。同省農産局企画課米穀需給班が取りまとめた全89ページの月次報告書で、米の価格・需給・消費・輸出入にわたる最新データを網羅する。同レポートは、米に関する価格動向や需給動向に関するデータを集約・整理し、毎月定期的に公表することによって、需給動向を適切に反映した米取引に資することを目的とするものであり、農林水産省ホームページでも閲覧できる。今号は2026年産水稲の生育状況と直近の米の需給動向の2テーマの特集となっている。
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生育は全国で概ね順調、高温の影響も散見
2026年産水稲の生育について2026年6月1日報告時点の全国概要をみると、全都道府県で田植えは概ね順調に進み、生育は平年並みかやや早い水準にある。農林水産省は高温傾向による茎数の増加と生育の前進を指摘する一方、一部地域での藻類発生や病害の兆しを課題として挙げている。北海道から沖縄まで全都道府県の生育ステージ・対平年遅速・生育概況・問題点・病害虫発生状況が表形式で示されており、秋田県では活着期で対平年「早1日」、新潟県では「早5日」と高温の影響が記録されている。
需給面では、2026年4月末時点の民間在庫量(出荷・販売段階の合計)が249万玄米トンとなり、前年同月差プラス81万玄米トンと直近10年で最も高い在庫水準に達した。このうち販売段階の在庫は65万玄米トンで、調査開始以来の最大値だ。農林水産省によれば、2022年産米の在庫水準に近い数値であり、米の流通構造に大きな変化が生じていることを示している。
米価は前年比42%上昇、近年で突出した上昇幅に
価格面では、令和7年産米の2026年5月における相対取引価格が全銘柄平均で玄米60キログラムあたり3万3164円となり、前年同月比プラス5515円(プラス20%)を記録した。令和7年産の年産平均価格は3万5812円で、前年比プラス1万633円(プラス42%)に達しており、近年で突出した上昇幅となっている。相対取引とは、全農などの出荷業者と卸売業者等との間で年間を通じて行われる長期的な取引を指し、農林水産省が一定規模以上の出荷業者を対象に毎月調査して公表する米価の代表的指標の一つである。
消費面では、公益社団法人米穀安定供給確保支援機構(以下「米穀機構」)が実施する「米の消費動向調査」に基づくと、2025年7月から2026年3月の期間において、1人1ヵ月あたりの精米消費量は対前年同月比で減少が続いた(2026年4月分を除く)。農林水産省が集計したスーパーマーケットのPOSデータをみると、2026年2月以降の価格下落傾向が続くなかで販売数量は増加基調に転じており、価格水準の変化に対する消費者行動の反応が読み取れる。また、とう精数量についても、2025年7月から2026年4月の累計は対前年同期比94.3%(対前年同期差マイナス16.1万玄米トン)と前年を下回る水準となった。
輸入量が前年度比約35倍に急増、約8割が米国産
輸出入面では、2025年度の枠外輸入累計が10万5778トンと前年度比で約35倍に膨らんだことが記録されている。このうち約8割を米国産が占めており、農林水産省の集計によれば2025年7月から2026年4月までの10ヵ月間の累計は7万727トンに上る。枠外輸入とは、高水準の枠外関税(341円/キログラム)を支払って行われる国家貿易以外のコメの輸入であり、通常は年間600〜800トン程度にとどまるものが急増した。
加工用・酒造好適米など主食用米以外の用途も収録
主食用米以外の分野では、令和7年産の加工用米・新規需要米の合計生産量が24万4018玄米トン、酒造好適米の令和7年産生産量が3万8000玄米トン台で推移するなど、食用以外の用途向け需要を支える生産実態が示された。
今号の別冊「資料編」では、主食用米等の需給見通しを示す米の基本指針(令和8年3月公表版)のほか、産地別民間在庫の長期推移、相対取引価格の通年平均、政府備蓄米の入札落札実績、14の支援事業の概要、水稲収穫量の都道府県別データなど、本編を補完する詳細資料が収録されている。