法人登記、同一住所に4,700社超集中

法人データベース「Compalyze(カンパライズ)」を運営する株式会社Compalyze(本社:滋賀県草津市、代表取締役:鈴木隆士)は、国税庁が公表する法人番号データをもとに、登記上存続するすべての法人の本店所在地を建物単位で集計し、法人登記が集中する住所を分析した調査結果を発表した。同一住所に登記された法人が最も多かったのは丸の内の会計事務所内住所で約4,794社、次いで渋谷・道玄坂の商業ビルが約4,754社となり、上位はほぼ東京都心の住所が占めた。以下、西新宿の商業ビル(約4,116社)、銀座の商業ビル(約3,189社)、神宮前の商業ビル(約2,568社)と続く。

住所貸し・SPC・外国会社・不動産の4類型

調査ではさらに、法人種別の構成比を手がかりに、集中する住所を4つのタイプに分類している。バーチャルオフィスとして使われる住所貸し型、証券化やファンド組成の受け皿となるSPC・受け皿型、日本に進出した外国会社の登記をまとめて扱う外国会社の登記代理、そして不動産を保有・運用する株式会社が集まる不動産SPCの受け皿である。いずれも適法な登記住所の使われ方であり、Compalyzeは特定の建物や事業者を問題視する調査ではないと説明している。

住所貸し型の代表例は、道玄坂の商業ビル(約4,754社)、西新宿の商業ビル(約4,116社)、銀座の商業ビル(約3,189社)、神宮前の商業ビル(約2,568社)である。これらの住所は株式会社が6割前後、合同会社が3割程度を占め、道玄坂のビルでは株式会社66%・合同会社31%、西新宿のビルでは株式会社63%・合同会社34%という構成になっている。一人法人や副業法人、スタートアップが月数千円程度の費用で都心の住所を登記に利用できるサービスとして広がっている実態がうかがえる。

https://compalyze.co.jp/journal/address-concentration

出典:1つの住所に4,700社超 ─ 法人登記が集中する住所ランキングと、その4つのタイプ

一方、SPC・受け皿型に分類される丸の内の会計事務所内住所では、株式会社は6%程度にとどまり、合同会社が約5割を占め、残る約43%は「その他の設立登記法人」(投資事業有限責任組合などを含む種別)が占める。機関設計が軽い合同会社や組合形態が中心となる証券化・ファンドの受け皿としての性格が、構成比の違いにはっきりと表れている。霞が関のビル6階に登記された約1,877社はすべてが外国会社で、大半が2015年に登記されており、日本に拠点を置く外国会社の登記代理として使われているとみられる。また丸の内2-7-2に登記された約1,024社は99%が株式会社で、商号には不動産の保有・運用を示す名称が目立ち、不動産SPCの受け皿としての性格を持つ。

住所貸し型は2022年から急増

時系列で見ると、住所貸し型の集中は2022年を境に急拡大している。道玄坂の商業ビルに現在登記されている法人を設立年別に見ると、2015年は14社、2019年は114社、2021年は184社と緩やかな増加にとどまっていたが、2022年に460社、2023年に814社、2024年に798社、2025年に872社と大きく伸びた。現在この住所に登記されている法人の82%が2020年以降の設立であり、住所貸しによる登記集中がここ数年で急速に進んだことを示している。これに対しSPC・受け皿型の丸の内の会計事務所内住所は、設立年別の件数が毎年300社から400社前後で推移しており、証券化やファンド組成が実需に応じて安定的に発生していることをうかがわせる。

地方の主要都市にも同じ構図

住所貸し型の広がりは東京に限った動きではない。大阪・梅田の駅前ビルには約2,037社(合同会社比率35%、2020年以降設立が82%)、名古屋・名駅の商業ビルには約770社(合同会社比率39%、2020年以降が86%)、福岡・天神の商業ビルには約520社(合同会社比率31%、2020年以降が79%)、横浜・北幸の商業ビルには約632社(合同会社比率39%)が登記されており、いずれも東京の住所貸し型と近い構成を示している。都心の住所を低コストで登記に活用する動きは、地方の主要都市にも同様に広がりつつある。

Compalyzeは、登記上存続していることが事業活動の実態を示すものではなく、住所貸し・SPC管理住所・外国会社代理・不動産SPCの区分もあくまで法人種別の構成比や設立年の分布などから推定したものだと注記している。住所を提供する事業者そのものを特定した調査ではなく、個々の法人の実態を確認したものでもない。同社は、一つの住所に数千社が登記される状況が広がるなかで、会社の登記住所だけからその実態を把握することには限界があると指摘し、登記の集中は会社と場所の結びつきが緩んでいることを示す一例だとしている。