横河電機 再生医療用細胞の製造自動化で11機関からなる産学コンソーシアムを発足

横河電機は、再生医療等製品の製造自動化プラットフォームを開発するコンソーシアムを発足させた。2026年4月13日に発表した。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)や東洋製罐グループホールディングス、アステラス製薬など計11の企業・機関が参画し、Quality by Design(QbD)に準拠した完全閉鎖系の自動培養システムの構築を目指す。

コンソーシアムの研究開発テーマは、AMEDの2025年度「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業」に採択されている。研究開発課題名は「細胞画像による品質評価機能を備えたQbD準拠・全閉鎖系バッグ自動培養プラットフォーム事業」。事業期間は2025年12月から2028年3月末まで。

再生医療等製品の製造現場では、バッチごとの品質のばらつきや手作業への依存、標準化・デジタル化の遅れといった課題が根深く残っている。こうした構造的障壁が、製造コストの削減と安定供給の実現を阻んでいる(月刊事業構想2024年11月号参照)。既存の製造自動化装置は汎用性や柔軟性が十分でなく、プロトコル変更時の負荷や薬事対応面で課題がある。そして医薬品開発製造受託機関(CDMO)には、1つの装置で複数の再生医療等製品に対応したいというニーズがある。

横河電機はこうした課題に対し、QbD・自動化・AIを組み合わせたプラットフォーム構想を提案。各領域で強みをもつ企業・機関に呼びかけ、コンソーシアムを立ち上げた。コンソーシアムでは、プラットフォームにおいて以下の4つの提供価値の実現を目指している。

第1に「高品質化」。QbD準拠と自動化により、あらゆる再生医療等製品の品質向上を目指す。第2に「生産の安定化」。10億個単位で必要とされる治療用の細胞製造において、手作業と比較した逸脱数の75%削減を2028年3月までに達成する目標だ。第3に「コスト削減」。人件費や培養関連消耗品の圧縮により、製造コストの65%削減を掲げる。第4に「多品種生産への対応」。モジュール型完全閉鎖系の設計により、同時に2種類以上の創薬シーズの製造に対応する。

AMED事業では、横河電機が全体統括・研究代表者を務め、細胞画像解析プラットフォームを提供する。京都大学iPS細胞研究所は副代表者として、iPS細胞由来骨格筋幹細胞の自動製造法の確立を担う。対象疾患は筋ジストロフィーだ。

装置・デバイス面では、東洋製罐グループが自動化用細胞培養バッグと細胞はく離装置を、ローツェライフサイエンスが分注モジュールとインキュベーションモニタリングシステムを開発する。IT領域ではSBXがQbD支援ソフトウェアと最適化アルゴリズムを担当する。

臨床応用の面では、藤田医科大学がCAR-γδT細胞(対象疾患:多発性骨髄腫、骨肉腫)、幹細胞&デバイス研究所(SCAD)がES細胞由来シュワン細胞(対象疾患:脊髄損傷、神経損傷)の自動製造方法をそれぞれ確立する。

さらにアステラス製薬が自動化システム連携やデータ連携について、ロートセルファクトリー東京とセルリソーシズがCDMOの立場から社会実装に向けた課題抽出を行う体制だ。

横河電機は、AMED事業期間内の開発成果を踏まえ、コンソーシアム内で販売体制を整備したうえで、国内のCDMO・再生医療等製品メーカー・バイオ医薬品メーカー・大学附属病院の細胞加工施設を対象にプラットフォームを販売することを計画している。