TRIPLE7 デフサーフィン世界大会2025で避難誘導ドローンを実運用

株式会社TRIPLE7（渋谷区）は、2025年11月7日、8日に千葉県白子町で開催された国際大会「ワールドデフトリプルSゲームズ2025（WDTSG2025）」の大会の中で行われる「メローカップ世界デフサーフィンチャンピオンシップ」にて、聴覚障がいアスリートの安全確保を目的としたドローン巡視および避難誘導システムの実運用を行った。

今回の巡視では、5名のドローンパイロットが2人体制（パイロット＋補助者）で交代しながら運用した。「DJI Matrice 4TD」の機体を15分間飛行させ、AI人物検知（赤色）、スピーカー機能を使った選手位置のモニタリング・エリア逸脱の検知、津波等の緊急時における視覚的避難誘導等を試みた。高光量ライトは、「非常時の視認性向上」を目的として白色から赤色へカスタム変更し、音が届かない環境でも視覚で即座に危険を伝える仕様にしている。

従来、サーフィンなど海上競技の安全管理は、「サイレン」「防災無線」「拡声器」など音を前提にした避難誘導が一般的であるが、
メローカップ2025の参加者は全員が聴覚障がいアスリートであり、危険シグナルが「聞こえない」という課題から、「音にたよらない」視覚ベースの防災手段が求められた。当日は風速約5mとなり、選手が競技エリア外へ流される場面も多発。「広域・即時・視覚的」な安全管理として、ドローン巡視と避難誘導システムを運用した。

当日は、白子町役場、茂原警察署、特定非営利活動法人 J-PRO（レスキュー）の協力のもとに実証を行った。パイロットと補助者が交代で飛行を担当。TRIPLE7が運営するドローン専門人材育成機関「NAPAドローンアカデミー」独自の運行マニュアルに基づく「2人1組の安全運航体制」で、現場のリスクを可視化しながら確実なドローン運用を行った。各機関との連動により、海上・陸上双方で安全確保の精度が高まった。

TRIPLE7は今回の実証を通して、視覚誘導ライト（赤色）の認知性が高いこと、強風下（約5m）でも安定した巡視が可能であること、AI人物検知によるエリア逸脱監視が有効であることを確認した。一方、天候・逆光など環境変化による視認性の変動、陸上誘導と空中誘導の役割分担の最適化、避難サインの「意味の統一」や事前説明の徹底といった課題は引き続き検証していく。

海辺における「視覚型防災インフラ」としてドローンを活用する技術は、聴覚障がいアスリートの安全確保にとどまらず、防災・防犯・見守り・広域監視など、多様な現場で展開できる新しい社会インフラとしての可能性を持っている。今後は、海水浴場でのドローン防災巡視、マリンスポーツ大会での安全管理の高度化、河川敷・湖畔イベントへの応用、防犯パトロール・迷子捜索・見守り支援など自治体との連携強化、ろう者を含む多様なパイロットと協働したインクルーシブな運用モデルの創出など、「音にたよらない防災」として、幅広い分野で「誰も取り残さない安全運用」の実装を進めていく。