京王電鉄とNōka.AI 日本初の「生物学的推論AI」で奥多摩やまめ養殖を最適化
京王電鉄と、生物学的推論AIを手がける米国のスタートアップ・Nōka.AI(米国カリフォルニア州)は共同で、2026年7月8日から「奥多摩やまめ養殖最適化プロジェクト」を開始する。奥多摩やまめの成長促進、飼料効率の改善、品質の安定化を目的とした共同研究で、日本初となる「生物学的推論AI」を活用した先駆的な取り組みとなる。
京王電鉄は、社員起点のオープンイノベーションプログラム「My turn」の事業化案件として、2026年3月に京王プラザホテル八王子の遊休施設を活用したアクアポニックス事業を開始。「ホテルで育て、ホテルで味わう究極の地産地消」をコンセプトに奥多摩やまめやクレソンなどを生産している。奥多摩やまめは川魚を生食できる希少性から料理人や食通の間で注目される食材だが、高付加価値な食材を飲食店に安定的に届けるには、成長プロセスの科学的な把握と生産効率化・品質安定化の仕組みづくりが課題だった。
Nōka.AIは、急増するタンパク質需要に対し生物学的データ解析で食料生産の最適化を目指すディープテック企業。魚類の遺伝子や血液、筋肉の成分などのマルチオミクスデータを学習し、ゲノムスケール代謝モデルやトランスクリプトームなどを統合することで、細胞レベルの代謝や栄養応答、環境条件が生体機能に与える影響までを解析する「生物学的推論AI」を開発した。今回のプロジェクトでは、飼料設計、養殖環境、品質予測という養殖の3つの核心課題に取り組む。成長や品質に効く栄養素の特定、水温や溶存酸素量など環境パラメータの動的な最適化に加え、収穫前に品質を予測できる早期バイオマーカーパネルを構築し、事後管理型から予測型の養殖への転換を目指す。
プロジェクトの実施期間は2026年7月から9月まで。データ統合、AIモデル学習、最適化提案、検証、知見移転の5フェーズで段階的に推進する。両社は「勘と経験」に依存してきた養殖現場をデータと科学で変革し、京王沿線発の新たな食文化の創出につなげる考えだ。