ケミトックス、宇宙戦略基金の「SX-ARK」に採択 曲げて設置できる全固体電池で宇宙用電源システムを開発

第三者試験評価機関の株式会社ケミトックスは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運営する「宇宙戦略基金」の技術開発テーマ「SX中核領域発展研究(SX-ARK)」の「熱とデバイス」領域に、「フレキシブル全固体電池による自在設置型宇宙電源システムの開発」が採択されたと発表した。宇宙戦略基金は、日本の宇宙産業の発展と国際競争力強化に向け、大学や企業などの技術開発を最長10年にわたり支援する制度で、SX-ARKは文部科学省が設定した領域にあたる。

小型衛星や宇宙服の設計では、限られた体積と質量の中で搭載機能を最大化することが求められる。従来の電池は固定構造のため、筐体内に活用しきれない空間が生じることが課題だった。同社が開発するフレキシブル全固体電池は、曲面や細かな空間に沿わせて配置できる構造を持ち、宇宙環境に対応した高い安全性と広い動作温度範囲を備える。これにより、従来の空間的な制約にとらわれない電源設計が可能になるとしている。

同事業はケミトックスが代表機関(実施機関)を務め、研究代表者は橘田太樹氏が担う。同社は設立から50年以上にわたり太陽電池やリチウムイオン電池の試験評価を手がけてきた第三者試験評価機関で、近年は全固体電池とペロブスカイト太陽電池の研究開発にも取り組んでいる。こうした評価と開発の両面での知見を基盤に、宇宙用電源システムの開発を進める。

SX-ARKの「熱とデバイス」領域は、デバイスの高性能化と、それに伴う発熱の増加への対応という二つの要請の両立を目指すものだ。電池を曲面などに沿わせて配置できる技術は、この空間と熱の課題に対する一つの選択肢となる。同社は短期的には小型人工衛星や宇宙探査機への応用を見据えるとともに、将来的にはフレキシブル全固体電池とペロブスカイト太陽電池を組み合わせた「曲がる発電・蓄電複合デバイス」の宇宙服への応用を構想している。