世界中の「欲しい」に対応 越境EC参入のチャンス

コロナ禍で日本と海外の往来が絶たれた今、越境ECやウェブインバウンドへの取り組みが、大企業・中小企業を問わず、幅広い業種・地域で求められている。海外物流や不正決済などの障壁を乗り越え、越境ECに参入するポイントとは。

日本語ECサイトの多言語化、海外決済・発送を一気通貫で行う「WorldShopping BIZ チェックアウト」

世界の越境EC市場は
2027年に504兆円に

コロナ禍に伴う巣ごもり需要を背景に、日本のEC市場は大きく成長している。三井住友カードの調査によれば、コロナ禍のECサイト利用率は78.4%で、約3人に1人が2019年比で「利用頻度が増えた」と答えている。ネットショップ作成サービス最大手のBASEでは、3月末以降ネットショップの開設数が急増し、2020年第2四半期のGMV(流通取引総額)が前年同期比プラス196%の成長を記録した。

国内EC市場以上に成長余地が大きいのが越境ECだ。経済産業省の電子商取引に関する市場調査(2020年7月)によれば、世界の越境EC市場規模は2020年で9,123 億ドル(約95兆円)。2027年には4兆8,561億ドル(約504兆円)にまで拡大すると予測されている。

コロナ禍によって日本と海外の往来がほぼ絶たれ、正常化もなかなか見込めない今、越境ECやウェブインバウンドへの対応は、日本の幅広い企業に求められるだろう。しかし、多言語対応や海外決済、海外物流などの機能を網羅した日本のECサイトは少ない。

「日本語のECサイトへのアクセスのうち、実は2~8%は海外からです。しかし海外ユーザーは『かな入力ってなに?』『配送国が選べない』と購入を諦めてしまう。日本のECサイトは十分に海外対応ができていないというのが現状です」と話すのは、ジグザグ代表取締役の仲里一義氏。2015年設立の同社は越境EC支援サービスを手掛け、ICCパートナーズのスタートアップコンテストに入賞するなど、注目を集める企業だ。

仲里 一義(ジグザグ代表取締役)

タグ1行で越境ECに対応

ジグザグは、多言語対応、海外決済、海外発送を一気通貫で行うサービス

「WorldShopping BIZ チェックアウト」を展開している。導入企業は自社ECサイトにJavaScriptタグを1行追加することで、サイトを多言語対応化できる。具体的には、海外ユーザーのIPアドレスとブラウザ言語を識別し、最適化された「多言語ナビゲーション」「かな入力が不要なフォーム」などを表示させる。決済は主要なクレジットカードやPaypal、銀聯カード、Alipayなどに対応。そして海外ユーザーとECサイトの間にジグザグが入り、カスタマーサポートから国内物流センターでの商品検品、海外梱包、配送までをすべて代行する。

導入サイトは400件を超え、さまざまな事例が生まれている。都内に1店舗のみを構える釣具店のECサイトには、ロシアやアメリカ、フランス、イスラエルなど世界36カ国からオーダーが入った。女性用下着の通販企業ピーチ・ジョンは、世界40カ国から注文が入り、顧客単価は国内の2倍以上になるという。これは「アメリカやヨーロッパに住む中国人女性などが、現地のブラジャーのサイズが大きくて合わず、ピーチ・ジョンのECサイトで日本製を購入しているため」(仲里氏)だという。「中国や台湾のユーザーに300万円もするサプリメントが売れた、全自動麻雀卓がアメリカに売れた、といった事例もあります」

巣ごもり需要をとらえ、2020年1~3月の「WorldShopping BIZチェックアウト」導入サイトの売上高は、前年7~9月に比べて143%の成長を記録した。国・地域別ではアメリカ、香港、中国がトップ3となった。

ジグザグのビジネスモデルもユニークだ。国内の導入サイトが払うコストは初期費用と月額費用のみ。対して、海外ユーザーからは購入代行手数料費用10%と海外送料を徴収する。「粗利益率は23~25%になる」という。

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