2020年7月号
購読申込み のあとに ログイン していただくと全文をご覧いただけます。

コロナ後の推測

分散型システムへの転換を 顕在化する「都市集中型」社会のリスク

広井 良典(京都大学こころの未来研究センター 教授)

0
​ ​ ​

新型コロナウイルスの災禍が浮き彫りにした、各種の社会リスクはそれ以前から伏在した世界と日本の社会課題を顕わにした面がある。今こそ、都市-地方の関係や働き方を含めた「分散型」社会に転換すべきときだ。

新型コロナウイルスの災禍で日本と世界の状況が一変した。今年の初めの時点で、誰がこうした事態を予想しただろうか。状況はなお刻々と変化しているが、「アフター・コロナ」の世界をどのように構想すべきについて、私なりの考えを述べてみたい。

この場合、少々手前味噌に響くことを承知の上で確認したいのは、「コロナ後」の世界の構想は、私が昨年10月に公刊した『人口減少社会のデザイン』(東洋経済新報社)において、AIを活用した未来シミュレーションも踏まえながら、これからの日本そして世界のあるべき展望として論じた内容と大きく重なるものになるという点である。それは端的に述べれば以下のような柱に集約される日本・世界の方向性だ。

1)「都市集中型」から「分散型システム」への転換

2) 格差の是正と「持続可能な福祉社会」のビジョン

3)「ポスト・グローバル化」の世界の構想

4) 科学の基本コンセプトは「情報」から「生命」へ

スペースも限られているので、ここでは特に1)の「都市集中型」から「分散型システム」への転換について述べてみたい。 

都市集中型社会のリスク

新型コロナウイルスの感染拡大とその災禍が際立って大きいのは、あらためて言うまでもなく、ニューヨーク、マドリード、パリ、ロンドンそして東京など、人口の集中度が特に高い数百万人規模の大都市圏である。これらの極端な「都市集中型」地域は、“3密”が常態化し、環境としても劣化している場合が多く、感染症の拡大が容易に生じやすく、現にそうしたことが起こったのだ。

一方、たとえばドイツにおいて、今回のコロナによる死者数が相対的に少ない点は注目すべき事実であると私は考えている。これには様々な要因が働いているが、ドイツの場合、国全体が「分散型」システムとしての性格を強くもっており、ベルリンやハンブルクなど人口規模の大きい都市も存在するものの、全体として中小規模の都市や町村が広く散在しており、「多極」的な空間構造となっている。

「多極集中」社会のイメージ

ドイツ:エアランゲン(人口約10万人)「極」となる地域が多く存在し、中小規模の地方都市でも中心部がにぎわい、自動車交通が抑制されて誰もが「歩いて楽しめる」コミュニティ空間になっている。

 

ところで、先ほどふれた拙著『人口減少社会のデザイン』の基軸をなしているのは、これからの日本や世界が持続可能であるためには、「都市集中型」のシステムから「分散型システム」への転換を図っていくことがもっとも本質的であるというAI(人工知能)の分析結果だった。

残り61%

0
​ ​ ​

バックナンバー

メルマガで記事を受け取る

メルマガ会員限定で、
ピックアップしたオンライン記事を
毎日お届けします。

以下でメルマガの登録ができます。

購読申し込みで全記事が読める

初月無料キャンペーン実施中

バックナンバー検索

注目のバックナンバーはこちら

最新情報をチェック。

会員になると 最新「事業構想」が読み放題。今なら

初月無料キャンペーン実施中