DeNA球団初代社長 コロナ禍でスポーツビジネスの常識は全て変わる

コロナ禍を経て、日本のプロスポーツはどのように変わるべきなのか。横浜DeNAベイスターズの初代球団社長として、新たなスポーツビジネスのモデルを確立した池田純氏は、これまでの「チーム」や「ファン」、「スポンサー」、「地域密着」などの概念はすべて古くなっていくと語る。

スポーツビジネスの変革には
「高い志」が不可欠

――コロナ禍は、日本のプロスポーツをどのように変えると思いますか。

池田 これまでの常識はすべて通じなくなると考えています。私は2011年~2016年、横浜DeNAベイスターズの初代球団社長を務めましたが、それ以前のプロスポーツは親会社の広告宣伝だから赤字でも仕方がない、球団・クラブの経営よりもチームの勝敗が大切という世界でした。

池田 純(横浜DeNAベイスターズ 初代代表取締役社長/埼玉ブロンコス オーナー兼取締役/さいたまスポーツコミッション 会長)

そこに私は「経営」の視点を持ち込んで球団を変革し、スポーツエンターテインメントビジネスとして成長事業にすることに成功しました。それは1つのパラダイムシフトだったと思いますが、それもすべて古くなるでしょう。

コロナ禍によって、従来からのスポーツビジネスの幻想が取り払われ、スポーツの次の時代における本質的価値が問われていく。既存企業が撤退し、虎視眈々と参入を狙っていた新興企業が動き始めるかもしれません。今、次のパラダイムシフトを起こすチャンスだと思います。

――新たなパラダイムシフトに必要なものは何だと思いますか。

池田 「変える力」です。それはスポーツだけでなく、日本で求められています。コロナ後の日本や地域を元気にするために、スポーツを使わない手はない。スポーツ界が率先して「変える力」を見せることは、日本が変わるきっかけになります。

特に、日本のプロスポーツの代表的な存在であるプロ野球がどう動くかは注目されます。プロ野球が新しい挑戦を始めれば、それに影響を受けて動き出すスポーツは多いでしょう。今こそプロ野球は、「変える力」を見せなければなりません。

そのために求められるのは「高い志」です。例えば無観客試合をすべきか、そうでないかといった議論もありますが、それは本質的な問題ではありません。それ自体が従来からの考え方にとらわれた議論で、無観客試合はプロセスの1つにすぎず、その先に何か新しい世界が広がっているわけではない。

改革とは「高い志」を持って新しい世界を切り拓くことであり、理想を描くことからスタートすべきです。このタイミングで新しい挑戦をしないで、いつするのか。コロナ禍によって、今までのやり方を否定しやすい時代がやってきました。

例えば、新しい「共感」や「ストーリー」を提供できるかもしれない。これだけZoomが定着した今なら、Zoomみたいなものをリーグで立ち上げて有料配信し、それをECと組み合わせて次の試合の関連グッズの広告を出し、注文すると自宅にいながら一体感を持って応援できるような仕組みもつくれるかもしれない。

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