人口は都市の中心へ 都心回帰が生むビジネスチャンス
移住補助金や23区内の大学定員抑制など、種々の手を打っても一向に収まらない東京一極集中。一方で、大阪や札幌、福岡中心部などで進む住民の回帰が、各都市のサービス産業を高度化している。地域の各都市がそれぞれの魅力を発揮すれば、人口の流れを変えることができるかもしれない。
日本では東京への人口の集中が進み、内閣府のまち・ひと・しごと創生会議でも、2020年度から始まる第2期の地方創生に向けた大きな課題になっている。一方で、都市への人口集中は世界的な潮流でもある。みずほ総合研究所調査本部政策調査部主任研究員の岡田豊氏は、全国の中核都市の人口を分析し、東京以外の都市でも街の中心部への回帰が進み、活気を生んでいることを明らかにした。人口をキーワードに、今後の都市づくりのヒントを聞いた。
各都市で続く中心部への流入
地方で見られる若年人口の移動は、(1)地域経済の中心都市が周囲の若年人口を集める、(2)その中心都市からさらに東京圏へと転出していく、というものだ。日本の三大都市圏の人口は、四半世紀にわたって転入超過が続いている。背景には、サービス産業の高度化があると見られる。建設業や製造業は日本全国にあるが、伝統的に男性従業者が多い。これに対し、高学歴の女性の働き口となるサービス業は都市部、中でも東京圏に集中している。若い女性が都会に出たまま帰ってこない背景としては、働きたい勤め先が地元にないということが大きい。
東京都都心3区と大阪府都心2区の人口
1995年時点の人口を100として、各区の人口の推移を見る。東京・大阪中心部の人口は過去25年間、増え続けている
そして近年、都市のサービス業のさらなる発展を後押ししているのが、住民の都心回帰だ。バブル崩壊後に地価が落ち着きを見せた東京都内では、住宅が増え、都心部に居住することも可能になっている。例えばタワーマンション開発が活発に行われた東京都中央区の人口は、1995年と比較して2倍以上になった。このような人の動きは、札幌や大阪、福岡などでも見られる。地方の中核都市では、事業所や飲食店の跡地が再開発され、住宅になる例が増えている。
このような都会の中心部への人口集中を支えるのも、それぞれの都市で働く女性たち。家族との時間を確保したい、体力が持たないなどの事情で、働く女性は遠距離通勤を避ける傾向がある。
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