生涯スポーツの世界最高峰 ワールドマスターズゲームズの可能性

2021年ワールドマスターズゲームズの開催地・関西には、スポーツ産業の有力企業や施設が集積する。「ゴールデン・スポーツイヤーズ」をどのように生かし、ビジネスの発展や地域活性化の契機とすべきか。同大会組織委員会の一員で生涯スポーツ振興論を専門とする神戸大学の長ヶ原誠教授に聞いた。

長ヶ原 誠(神戸大学 発達科学部 教授)

スポーツ祭典に適した資源が
コンパクトに集積する関西

超高齢社会を迎えた日本では、自立して健やかに過ごせる健康寿命延伸への働きかけが盛んだ。そこで注目されているのが生涯スポーツの存在であり、ゴールデン・スポーツイヤーズは振興の大きな契機となりそうだ。

「ワールドカップやオリンピックは、国の代表として選ばれたエリート選手の卓越したパフォーマンスを『観る』スポーツの祭典ですが、ワールドマスターズゲームズ(以下、WMG)は原則30歳以上であれば誰でも複数種目にエントリーできるオープンな大会で誰もが主人公として『(参加)する』イベントであるという点に特徴があります。ちょうど10回目の節目を迎えること、アジア開催は初めてということもあって、国内のみならず世界中の耳目を集めています」。

WMGはIMGA(国際マスターズゲームズ協会)の主催によって4年に1度実施されてきた。1985年の第1回カナダ(トロント)大会から2017年の第9回ニュージーランド(オークランド)大会までは、複数の立候補都市による入札方式で開催地が決められたが、第10回大会は関西広域連合がIMGAから打診を受ける形で選ばれた。第7回大会で滋賀県が誘致活動を行ったことが奏功し、関西には国際的なスポーツ祭典の開催にふさわしい資源があるということが関係者の間に周知されていたからだ。

表 オリンピックとワールドマスターズゲームズの大会比較

出典:長ヶ原氏作成資料

 

「半径150㎞圏内に開催候補種目の競技大会に対応できるスポーツ施設が340カ所も集積していることに加え、多くの観光スポットと宿泊施設があり、国際空港を含めた8つの空港と各会場を結ぶ交通網も充実しています。また、マスターズの古き文化を重んじる気持ちや生涯スポーツの文化が、笑いと涙に溢れた関西人の感性に一致しているようにも感じます」。

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