スポーツ庁のオープンイノベーション 共創事業で15兆円規模に
スポーツ関連産業を成長エンジンにするためには、様々な業界との連携による新事業の創出が不可欠。スポーツ庁では、オープンイノベーションの基盤となる取組を2018年度に始めた。スポーツ界が持つ権利や主催大会、データを活用し、業界を問わない連携で、スポーツ市場規模の拡大を目指す。
2010年代に入り、新しいスポーツの役割として注目されるようになったのが、経済発展への寄与だ。既存の産業が次第に陳腐化し、衰退する中で、スポーツ関連ビジネスは新しい成長産業として期待されている。
スポーツ庁は、2018年12月に「スポーツオープンイノベーションプラットフォーム(SOIP)推進会議」を開催した。SOIPは、スポーツを成長産業とするための基盤となるもので、これの構築を先導することが推進会議の目的となっている。SOIPの取組について、スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当)付参事官補佐の忰田康征氏に話を聞いた。
スポーツと他業界をつなぐ基盤
2015年10月の設立時からスポーツ庁が目標としていたのが、スポーツを通じた経済活性化。政府の「日本再興戦略2016」では、スポーツの成長産業化が取り上げられ、「スポーツの市場規模を、2012年の5.5兆円から、2025年までに15兆円に拡大する」という大目標が示されている。
この目標を達成するためには、新規のスポーツビジネスを振興する必要がある。経済産業省とスポーツ庁が開催したスポーツ未来開拓会議では、スポーツの成長産業化に向けた5つの課題の1つとして、「他産業との融合による新たなビジネスの創出」を挙げていた。この課題解決の基盤がSOIPと言える。オープンイノベーションのプラットフォームとして、スポーツをオープン化し、スポーツ界が持つリソースを他の産業と共有して、新しいサービスや製品につなげていく。
「例えば、最新技術の活用により新たなスポーツ体験を可能にしたり、トップアスリートの体調管理をヘルスケア産業に応用したりするなど、様々な産業とスポーツを掛け合わせることによりスポーツの領域を広げていきたいと考えています」と忰田氏は説明する。
スポーツ庁の分類によるスポーツのオープンイノベーションには3類型ある。最も現在のスポーツ産業に近いのが、1つ目の「スポーツの価値高度化」。AR/VRを利用して新たなスポーツを楽しめるようにしたり、初めて観戦する人でも楽しめるように選手の動きをよりわかりやすく見えるようにしたり、フィンテックを活用して選手を経済的に支援したりするなど、他産業ですでに使われているテクノロジーを、スポーツに適用するイメージだ。
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