2019年7月号
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ビジネスで環境を守る

ESG金融で世界が変わる 95兆ドルのビジネスチャンス

末吉 竹二郎(国連環境計画金融イニシアティブ 特別顧問)

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SDGsとパリ協定が求めるESG金融が世界を変え始めた。それが生み出す巨大なビジネスチャンスを求めて世界の金融とビジネスが躍動している。それを支える国家政策も総合力の競争時代になったいま、日本の戦略は。

末吉 竹二郎 (国連環境計画金融イニシアティブ 特別顧問)

企業のサプライチェーン全体での脱炭素、社会課題解決への気運が高まっている。10年以上前から温暖化や飢餓、貧困などの問題と経済、ビジネス、金融の在り方を言及してきた末吉竹二郎氏は、「当然のことが、ようやく起こってきた。問題は極めてクリアです。SDGsやパリ協定が問題にしている地球規模の課題、社会問題の原因を作ったのは我々のビジネス。ビジネスが作ってきた問題を解決するには、ビジネスを変える以外に方法はないのです」と話す。

COP24会場

金融は社会の審査機能

三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)出身の末吉氏が、環境金融の世界に関わり始めたのは、第2の職場、日興アセットマネジメントで日本初のエコファンドの立ち上げに関わったきっかけ。その後、2003年に国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)の特別顧問に就任した。

「当時、円卓会議でドイツ銀行の頭取が、環境と金融の融和性を自分の言葉で語るのを聞き、ショックを受けたことを覚えています」(末吉氏)。

金融は経済・社会の血流と呼ばれる。金融がどこにお金を流すかで、社会や経済、産業は変わる。

「貸したお金がどんな事業、ビジネスを通じて、社会や我々の生活にどんな影響を与えるのか。貸したお金の先まで見て判断するのが、正しい金融。金融自身でどこにお金が流れるべきかを考える必要があると同時に、社会や産業の変化を見ながら、必要な部分にお金を流さなければいけません。金融機関というのは、社会の審査機能を担っていると言えるのです」(末吉氏)。

SDGsもパリ協定も、背景には“地球の問題を根本的に解決していかなければ、ビジネスを含む社会がサステナブルでなくなる”という、強烈な危機感がある。

日本の損保業界が昨年度支払った自然災害に対する保険金の総額は、1兆4000億円。過去最大は、台風が6つ来た2006年の6000億~7000億。比較して倍だ。世界では、2017年で15兆円にのぼった。

世界では、保険会社が石炭関連事業に損害保険商品を売らないと言い始めている。石炭関連事業に損害保険を付ければ、CO2を出すビジネスが増える。結果、自然災害として返ってくるからだ。損害保険が付かなければ、新しい工場も新規事業もできない。そうした動きが、既に始まっている。

こうした世界の動きに、「日本はいつも10年遅れます」と末吉氏。国連責任投資原則(PRI)が生まれたのが2006年。当時、末吉氏が日本にPRIを紹介しようと開いた懇談会に出席したのは2人か3人だったという。関心も知識も全くない状態だった。

「そのPRIに世界最大の年金基金である日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が署名したのは2015年9月。9年半かかっているのです」(末吉氏)。

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