2019年4月号

情報と技術で防災・減災

防災情報を「伝わる情報」に 品川区の多言語情報配信ツール

モリサワ

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東京都品川区では多言語情報配信ツール「MCCatalog+(エムシーカタログプラス)」を導入し、広報紙や防災情報の発信に活用している。プッシュ通知でいち早く情報を届け、音声読み上げなど様々な機能で多様なニーズに応えていく。

中元康子 品川区企画部広報広聴課長
古巻祐介 品川区防災まちづくり部防災課長

広報紙や防災情報を
スマートフォンに配信

多言語情報配信ツール「MCCatalog+」は、国内の印刷・出版市場で約8割のシェアを持つフォントメーカーのモリサワが2015年にリリースした。MCCatalog+では、電子化された情報は無料のデジタルブックビューア「Catalog Pocket(カタポケ)」上に配信される。日本語を含む多言語(現在は10言語)に対応した自動音声読み上げや文字拡大、動画の埋め込み、Webリンクなど多様な機能を備え、全国の自治体で導入が進んでいる。

東京都品川区では、このMCCatalog+を採用し、広報紙の発信に活用している。「品川区の広報では今の時代だからこその課題があり、それらを解決するため、MCCatalog+を採用しました」と品川区企画部広報広聴課長の中元康子氏は言う。

世論調査によれば、インターネットが普及した現在も、区民が区から情報を得る手段で最も多いのが、区の広報紙だ。一方、各世帯への広報紙配布は、基本的に新聞折り込みで行ってきたが、近年は新聞を購読する世帯が減少傾向にある。このため、どのようにして、より多くの区民に広報紙を届けるかという課題があった。

また、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を前に、外国人旅行者の区内への誘導や滞在という都市型観光事業を進める中、多言語対応も課題となっていた。

これらの課題に対応できるツールを検討していたところ、低コストでそれを実現できるMCCatalog+の導入に至った。

「スマートフォン等の情報端末でも広報紙が見られ、プッシュ通知もあるので、新聞を取っていない方々にもいち早く情報を届けられます。また、文字拡大機能もあるので、高齢者の方々にも配慮された仕様となっています。そして、カタポケの機能を知った区の防災課から、『防災情報も載せてほしい』と要望があり、それも入れることにしました」(中元氏)

2016年に開設された「しながわ防災体験館」では、シミュレーションを通じて災害から生き延びる方法を学べる

素早く多言語対応で外国人にも
防災情報を提供

品川区内にはインドネシアやブラジルなど、16カ国の大使館や領事館がある。特に地震が多い日本において、防災に関する多言語の情報提供がないことは、外国人居住者の不安の要因となる。

「区ではこれまでも、英語、韓国語、中国語の3言語で防災情報に関する外国語の冊子を作ってきましたが、MCCatalog+は10言語の自動翻訳や自動音声読み上げ、プッシュ通知の機能も付いているので、災害時の情報発信にも適しています」品川区防災まちづくり部防災課長の古巻祐介氏は、こう説明する。また、災害が起きて避難する際、大部分の人は冊子を持っていけなくても、スマートフォンや携帯電話は持っていくと考えられる。避難所の場所やハザードマップを含む品川区の防災情報はオフラインでも読め、災害時にも強みを発揮することが期待される。

区では大規模な災害時には、災害対策本部を設置し、逐次情報を発信していく。その際、区民らの情報源となるスマートフォンの充電もできるよう、避難所などの電源対策も進める。また、プッシュ通知が付いた災害情報の発信は、区の職員自身が、災害時に情報を得る際にも役立つ。東日本大震災の際は、災害対策本部からFAXなどで避難所へ情報を送信し、避難所や施設に貼紙をする形で区民への情報提供を行ったが、迅速性や多言語での対応に課題があった。

「職員のスマートフォンに逐次、災害に関する区の情報が入れば、出先にいる職員は災害対策本部に問い合わせることなく情報が得られます。区民から問い合わせがあった場合には、それに基づき情報提供もできます。多言語の自動翻訳が付いているので、外国人の方も理解できます」(中元氏)

区では現在、コミュニティFMの開設に向けた準備も進めている。今後はラジオ局と防災協定を結び、災害時にはカタログポケットで配信した情報を読み上げてもらうことも視野に入れる。さらに、ケーブルテレビや大手メディアなどにもその情報を活用してもらえるよう期待している。

「伝わる広報」は防災の基本

行政の広報では現在、「伝える広報」ではなく、「伝わる広報」がキーワードとなっている。プッシュ通知を使った情報の発信は、その実現にもつながる。

「防災情報の発信は様々な方法で行っていますが、意外と伝わっていないと感じます。このため、災害時に避難勧告が出ても避難しない人が多いのだと思います。『伝わる広報』は防災の根本で、MCCatalog+によってそのための1つの手段を増やせました」(中元氏)

品川区では気密性が高い高層マンションが増えており、「防災行政無線の音が聞こえない」という声も寄せられる。また、区内には企業などで働く昼間人口が多いことから、防災情報は区民だけでなく、これらの人々にも提供する必要がある。このため、区内各戸への防災の冊子の配布だけでなく、MCCatalog+を使ったスマートフォンへの情報発信はこの点でも役立つ。また、災害時に日ごろ使い慣れたツールで防災情報を見てもらえるのも特長だ。

さらに、品川区では、東京2020オリンピック・パラリンピックを前に、各所管と連携し、インバウンドの旅行者が区内滞在する際の利便性向上に向けた情報を提供していく必要がある。そこで、MCCatalog+の機能を効果的に活用し、区からの情報発信を充実させていく方針だ。

平常時の情報発信から、災害時の緊急情報発信まで対応できる

 

株式会社モリサワへの

お問い合わせ


株式会社モリサワ
公共ビジネス推進課
Tel:03-3267-1378
http://www.mccatalog.jp/

 

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