2019年3月号

実務家教員による大学教育

新興分野の勃興で 学術領域にとらわれない実務家教員の需要

川山 竜二(社会情報大学院大学 学監)

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実務家教員についての簡単な概要については、第1回目で触れた。今回から、実務家教員とは一体何かということを、一つずつはじめから、ていねいに読み解いていきたいと思う。

実務家教員養成課程(第1期、学校法人先端教育機構)の講義風景。第2期は、2019年4月開講

実務家教員の文脈

かつては、「社会人教員」や「企業人教員」とも呼ばれていたが現在は「実務家教員」という用語で文部科学省でも日本経済団体連合会(以下本連載では「経団連」と略す)でも統一されてきたようである。実務家教員が求められる背景をさぐる上でのキーワードは、「人生100年時代」、「リカレント教育」そして「大学改革」である。これらの3つのキーワードが絡み合っていると考えられるが、今回はそのなかでも「大学改革」と実務家教員について考えてみたい。

大学改革という言葉を聞いて久しい。ここでの大学改革は、今年(2019年)4月から新たに誕生する専門職大学等の制度化に限定して話をすすめたい。月刊事業構想でも実は何度か取り上げている。大学制度に新たな学校種類が加えられるのは、短期大学創設以来の55年ぶりのことで注目を集めている。文部科学省のパンフレットによれば、専門職大学とは「なりたい職業に直結する 理論と実践の両方を学べる、新しいタイプの大学」としている。大学と同様の教育課程や教育水準を求めることはもちろん、産業界と連携した実践的な職業教育をすることが特色となっている。実務家教員には、実践的な職業教育を担うことが求められている。

実践的な職業教育をいかに体系化するのか、そして実践の理論を確立するためには、これまで実務で培ってきた経験をもつ実務家教員の力が必須となる。社会が目まぐるしく変化するなかで、即戦力となりうる実践的スキル、そして社会の変化に対応しうるためのその領域の理論も必要となるのは当然の流れといえるだろう。

実務家教員とは誰か

実務家教員というのは、以前からも存在していた。専門職大学院(専門職大学とは違う!)ではいわゆる実務家教員を置くことが法令で定められている。専門職大学院は、法科大学院やMBAを授与するビジネス・スクールを思い浮かべればわかりやすいかと思う。

そう考えると、どうしても既存の領域、たとえば法律(学)や経営(学)などを想定しがちである。しかし、実務家教員の領域に制限はないと考えられる。これまでの実務家教員のイメージは、以前から存在しているという意味で古典的プロフェッショナル(専門職)に限定されていたのではないだろうか。今、直面しているのは新興プロフェッショナルの勃興である。高度情報化社会と言われるなかでさまざまな実務の領域が高度化すれば、それぞれの領域で実務家教員は必要になろう。教育であろうと、金融であろうと、芸術の分野であろうと全てである。つまり、誰しもが実務家教員としての素養を持ち合わせているといえる。

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