2019年1月号
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労働の行方、働き方の未来

人口減少の時代、デジタル革命で何が起きるのか

森川 博之(東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻 教授)

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デジタル技術の進化は、これから社会をどのように変えていくのか。また、企業にとっては、どのようなチャンスが生み出されるのか。IoTをはじめとしたデジタル技術の第一人者であり、多数の政府委員を務める東京大学・森川博之教授に、デジタル化の未来について話を聞いた。

森川 博之(東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻 教授)

――これからのデジタル社会は、どのような変化が本格化するのですか。

森川 これまでのデジタル技術は、ウェブ上のサービスが中心でしたが、今後、リアルな世界の隅々にまで浸透し、仕事や生活を裏側で支えるようになります。例えば、ゴミ箱がスマート化される。ゴミの量をセンサーで測定し、適切なタイミングで回収ができるようになることで、回収業務の負担やコストは大幅に削減されます。

それは、ゴミ回収業者には大きなインパクトをもたらしますが、生活者からすると、変化が見えづらい。今後、あらゆる領域でデジタル技術が使われるようになりますが、その変化はある意味で「地味」です。

1960年代後半、「PLC」というマイコンが登場して、世界を大きく変えました。しかし、ほとんどの人がそれを知りません。なぜなら「PLC」は、自動車の生産ライン等を自動化するものだからです

同じように、これからのデジタル革命は、生活者からすると、わかりやすい変化をもたらすものではありません。ただし、そこには巨大なマーケットがあります。

何をデジタル化すればよいのか

――企業は自社が取り組むべき課題を、どのように見定めればよいのですか。

森川 例えば、ゴミの回収業者にヒアリングしても「ゴミ箱をスマート化したい」という声は、なかなか出てこないでしょう。アナログで対応するのが「当たり前」の業界では、当事者は従来のやり方に疑問を感じていません。そうした場合、現場の声を聞くよりも「観察」から始めるほうが、解決すべき課題を見つけやすくなります。

一番重要なのは、アタマを柔軟にしてアンテナを張り、固定概念から抜け出すこと。例えば、スペイン・バルセロナのコメディ劇場が導入した「Pay per Laugh」というシステム。入場料は無料にして、観客が1回笑うごとに課金する仕組みですが、それによって売上げを伸ばしました。

「Pay per Laugh」は、座席にカメラの付いたタブレットを設置して、観客の笑顔を画像認識で判別しています。技術的にはシンプルであり、難しくないでしょう。特別な先端技術を使わなくても、ちょっとした「気づき」でチャンスは広がります。

私は「アナログプロセスのデジタル化」と呼んでいますが、今後、人の経験と勘に頼ってきたアナログの世界が、どんどんデジタル化されていきます。身の回りにアナログプロセスは膨大にありますから、そこでデジタル化のチャンスに気づけるかどうか。特に、労働集約型の産業や地方の中小企業は、生産性向上の余地が大きく、可能性のある領域だと言えます。

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