2018年11月号

平時から考える災害対策

商社フジテックスの自治体支援 災害廃棄物の処理計画づくり

フジテックス

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地震や豪雨に伴う洪水など、毎年のように大規模災害が生じている日本。災害が起きた後の事後処理を計画しておくことは、復興への大切な一歩だ。フジテックスは、蓄積した知見・ネットワークを用いた、自治体向けに災害廃棄物対策支援を始める。

寺原拡志 フジテックス 環境リサイクル事業部 次長

環境関連機器・資材の総合商社であるフジテックスは、災害廃棄物の処理計画策定の支援サービスを、自治体向けに開始する。法人向けにビジネスを展開する商社として、廃棄物処理企業やリサイクルプラント向けに様々な物品を調達してきた同社が、なぜ自治体向けのサービスを開始するのか。背景には「災害廃棄物処理計画」の策定が求められるようになったにもかかわらず、専門知識やマンパワー不足などで対応できない自治体が数多く存在している現実がある。

災害時に発生する大量の廃棄物は、早い段階で処理を進めなければ復興の妨げとなり、臭気、害虫、感染症など発生に繋がり、衛生上の問題となる。環境省は、東日本大震災の教訓をもとに、平成26年に災害廃棄物対策指針を策定。平成30年3月には、熊本地震など、指針策定以降の災害の知見を加えた改訂版を発表した。

同指針は、市区町村と都道府県が災害に備えて策定する、災害廃棄物の処理に関する計画に、盛り込むべき事項を提示したもの。例えば、災害時に廃棄物処理を担当する組織体制や、情報収集の内容・連絡体制、複数の通信手段の確保法などを、災害が発生する前に決めておくことで、廃棄物処理に着手するまでの時間を短縮できる。

図 フジテックスの災害廃棄物対策の支援イメージ

 

市町村も処理計画策定が急務に

平成30年の改訂版では、広域で災害廃棄物に対処する地域ブロック協議会や、専門家・業界団体の集まりである災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net)などの役割を明記した。また、熊本地震や各地の豪雨災害の経験に基づき、実践的な対応につながる事項を充実させている。

例えば、平時、災害応急対応機、復旧・復興期のそれぞれのステージで必要とされる事項を具体的に挙げた。国、都道府県、市区町村や民間企業など関係団体の役割も、より明確化されている。特に市区町村は、災害廃棄物対策の最前線で、支援と受援の両面を考慮した対策が求められるようになった。

しかし、環境省が実施している調査によると、平成30年3月時点で、災害廃棄物の処理計画を策定している市町村は3割程度しかない。1年前の平成29年3月末、この数値は2割程度であったことから、計画の策定がなかなか進まない現状が垣間見える。

災害廃棄物処理計画の策定に関するハードルについて、平成27年度に環境省が実施した調査では、「専門的な情報や知見が不足している」が最も多く、規模の小さい自治体では「作成にあたる職員や時間を確保できない」という悩みを抱えている団体が多かった。また、計画を未策定の自治体では、「何から手をつければよいのか分からない」と回答した団体が1割程度あった。

処理計画の立案の際は、発生する廃棄物の予測、その収集、運搬、そして処理に至るすべてのプロセスを考慮しなければならない。地域を調査し、一時保管場所の候補を探したり、災害廃棄物の処理に対応できるような設備を自治体の処理場に導入することを検討したりする。発生した廃棄物が自治体の処理設備で処理しきれない、専門業者に依頼したほうが適切に処理できる、等の場合には、地元の民間企業や近隣自治体の力を借りることになる。これらの企業を探し、平時からネットワークを構築しておかなければならないし、近隣の市町村や県、国とも連携した計画を立てなければならない。どれも、複数の業務を抱え、しかも廃棄物処理の専門家ではない自治体の職員には負担が大きい業務だ。

フジテックスの新規サービスは、このような業務を実施する自治体を支援するもの。「事業部設立から26年にわたり、様々な廃棄物処理に関わってきました。その知見や全国のネットワークを活用すれば、弊社が自治体の災害対策の一助になれると考えています」と環境リサイクル事業部次長の寺原拡志氏は話す。

震災発生時には土砂付きの廃木材、家庭粗大ゴミやコンクリがれき等が様々な処理難物が大量に発生する。フジテックスは、これらをリサイクルに向け選別処理するプラントを被災地に提供した実績もある。国内外の設備メーカーと連係し、複雑な形状の廃棄物を選別する大型プラントエンジも手掛けている。

商社独自のサポートを提供

フジテックスは、昭和53年の創業から、「環境リサイクル事業」をコア事業としている。廃棄物を新たな資源として活用するためのリサイクルシステムの導入や、より効率的な処理の仕組みを提供するものだ。取引先は、全国の産業廃棄物、リサイクル業者や、廃棄物を排出するメーカーの工場など2000社以上にのぼる。

同社は、2011年3月の東日本大震災をきっかけに、環境リサイクルの観点から「防災・復興事業」に力を入れ始めた。この事業では、災害エリアで使用される土のう袋などの資材や、除染機材などを取り扱っている。安全で安心な生活を行うため、放射線検出装置の必要性が急増した震災直後には、商社として国内外に張り巡らせたネットワークを活用し、供給責任を果たした。様々な災害廃棄物の処理が可能な選別ラインや、破砕し減容するラインなどを被災地に納入した実績もある。

また、D.Waste-Netのメンバーである廃棄物処理・環境企業の業界団体にも加盟しており、主要都市8カ所に営業所を構え全国的なネットワークを持つ。各種の廃棄物をどのように処理するのが最も効率が良いかをアドバイスできる、情報のハブになっていると言える。「異常気象が続いており、日本国内はますます災害が増える。これまで培った廃棄物処理に対する弊社の強みを活かして、全国の自治体のお手伝いが出来れば」と寺原氏は話した。

豪雨で大型破砕機に注目集まる

フジテックスの扱う商品は、大小多岐にわたる。2018年に国内総代理店として新しく取り扱いを始めたのが、ドイツ製の大型廃棄物破砕機「アリエス」シリーズだ。キャタピラ付きの自走式で駆動性が高く、がれきや金属、粗大ごみなどを幅広い廃棄物を破砕する。世界では1000台ほどが使用されており、日本では在日米軍基地で導入されている。高い破砕能力が特徴で、産業廃棄物だけでなく、有事の際には駆動性を活かし現地で災害廃棄物の処理にも使用できる。

2018年7月の西日本豪雨では、流木や泥まみれの家財、居住不能になり解体された家屋など、大量の災害廃棄物が生じた。被災地の復旧を迅速に進めたい自治体やリサイクル企業から、同装置への問い合わせが相次いでいるという。

 

株式会社フジテックスへの

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株式会社フジテックス
環境リサイクル事業部
寺原拡志
Tel:0120-81-2166
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