神戸市が起業家支援で存在感 エリート人材を惹きつける秘訣とは

人材育成のあり方が変化する一方で、外部の経験やネットワークなどを取り込む動きも増えている。起業家支援策で存在感を増す神戸市役所もその一つ。起業家のエコシステムの構築を強力に推進できている背景には、起業家と行政の協業を支える「外部人材」の活躍があった。

多名部重則(神戸市医療・新産業本部企業誘致部 新産業創造担当課長)(左)、
中沢久(同 企業立地課)(右)

久元喜造市長が副市長時代に「行政によるIT活用の推進」を掲げたことをきっかけに、神戸市は2015年4月より、ITを使ったビジネスを展開するスタートアップ支援を推し進めてきた。その柱が、シリコンバレーを本拠に世界60ヵ国以上で2,000社以上に出資する世界的VC「500 Startups」との協業だ。2017年は、国内外合わせて216社のスタートアップから応募があり、選抜審査を突破した21社に対して500 Startupsのアドバイザー約25人による1対1形式のメンタリングが行われた。「起業マインドの醸成やマーケティングの指導、実践的なノウハウなどの講義、投資家向けのプレゼンテーションなど、桁違いに濃い内容でした」と神戸市医療・新産業本部新産業創造担当課長の多名部重則氏は振り返る。

本気度が伝わる人事とプログラム

多名部氏は2015年に久元市長とともにサンフランシスコを訪問するなど、スタートアップ育成事業の担当者として奔走するうち、行政機関にはないIT業界の専門知識と幅広いネットワークを持つ民間人の協力を得たいと考えるようになった。

そして2016年4月、俯瞰的に事業全体を見て助言する非常勤の「チーフ・イノベーション・オフィサー」としてコード・フォー・ジャパン代表理事の関治之氏を、常勤でスタートアップと市職員との協業をサポートする「ITイノベーション専門官」としてアクセンチュア出身の吉永隆之氏を迎えることに。さらに、ルワンダとの連携強化に向けても、アフリカ神戸リエゾンオフィサーとして、ハサン・ケデュール・エドリス氏を採用するなど、「どうすれば、あんな優秀な人が来てくれるのか?」と、他地域が羨むような外部人材を集めてきた。

「500 Startupsプログラムを日本で初めて誘致したことが"バズり"、多くの方の耳目を集めることができました。加えて小・中・高・大学で起業家というキャリアがあることを伝える、若手人材をシリコンバレーに派遣する、スタートアップオフィスを作ってアクセラレーションプログラムを動かす、などを並行して続けていることで、神戸市の"本気度"が伝わったのはないでしょうか。ふるさと納税を活用した起業家の資金調達支援『谷上プロジェクト』の発起人であるチャットワーク創業者の山本敏行さんも、500 Startupsを仕掛けた神戸でやりたいと決めてくださったようです」(多名部氏)。

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