2018年10月号
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「学び」の新市場

忘れがちな教育事業の「特殊性」 参入のポイントは「理念」形成

川山 竜二(事業構想大学院大学 准教授)

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新たな教育事業を構想する際のポイントは、教育内容やビジネスモデルだけではない。教育事業の根幹となる「理念」の形成や、教育の方法や運営を含めた「学びのイノベーション」を考えなければならない。

私達の教育方法は100年以上変わっていない。教育の方法そのものにもイノベーションが期待される(写真はイメージ)

教育改革ブーム?

2020年に大学入試制度が変わる、学習指導要領が変わると各所で言われているが、一体何が変わるのであろうか。さらに、人生100年時代に対応したリカレント教育や高度情報社会の進展にともなうeラーニングなど、あらゆるニーズやサービスが誕生している。その一方で、少子高齢化で教育事業は斜陽産業とも言われている。教育や学びの本質をつかみ、新たな教育事業や教育サービスを構想するには、一体何が必要なのかを今一度再検討してみたい。

教育事業の特殊性

幼児教育からリカレント教育(生涯学習)、さらには企業研修も含めて教育事業といってもよいだろう。この教育事業を展開していく上でのポイントは2つあるように思われる。

1つ目のポイントは、受益者と負担者が異なる点である。例えば、子どもを学習塾に通わせる場合を考えてもらいたい。学習塾に通わせると、直接指導を受けるのは子どもである。したがって、子どもは学習塾から対価分の恩恵を受ける。では学習塾へ負担する費用は誰が支払うのかといえば、保護者が支払うのである。これは企業内研修でも同じことだ。つまり、他のサービス事業と異なり、受益者と負担者が不一致になることが極めて高い事業であることがいえる。また、教育サービスの評価も、受益者の直接的評価と負担者の「受益者に対する評価」を踏まえた評価とのダブル・バインドとなる。

もちろん、自己投資として自分で教育の対価を支払い、教育サービスを受けることもある。それが2つ目のポイントである。つまり、投資性である。教育サービスの効用は、目に見えるものだけではないし、即時性もない。教育の効用性が不確定のまま対価を支払うことが基本である。また、教育の効用もそれぞれ個々人に左右されることもあり、そういった意味でも投資性のあるものだと考えることができよう。

教育理念と学びのイノベーション

ここまで教育事業を考える上で、2つの点を示した。1点目は、2020年以降の教育改革に関する点。2点目は、教育事業の特殊性に関する点である。この2つの点から、公教育および私教育を問わず、教育事業を考えるときに何を手がかりすればよいのかを考えてみたい。

第1に、教育理念である。これから教育事業や教育サービスを提供するときに、まず考えなければならないのは教育理念である。それは、経営理念とはまた違うものである。教育は、一つの大きな社会的意義を担っているという大義名分だけでなく、教育事業の特殊性と通底するものがある。というのも、教育の効果はサービスを受けた後でしかわからない。そのためには、その教育サービスが目的とするところの教育理念が参照点になるのである。

そうすると、教育理念とは何かということになる。ここで注意しなければならないのは、教育の「理想」を語るのではなく「理念」なのでなる。理想像ではなく、教育サービスの根本となる考え方である。

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