障害者スポーツの可能性
オリンピック・パラリンピックと表記されるように、スポーツは、健常者が行うものと障害者が行うものの二つに大別されることが多く、後者はマイナーな存在になりやすい。しかし、スポーツの起源を紐解けば、障害者スポーツにも、等しく魅力があることがわかる。
障害者とスポーツの歴史
障害のある人のスポーツは第二次世界大戦後の傷痍軍人のリハビリテーションの一環として始まり、1960年に日本に取り入れられた。それまで病院や施設の中で安静に過ごしてきた障害者は社会復帰の手段としてスポーツを行い、障害者が働く機会が乏しかった当時の社会においてはスポーツに参加することは社会との繋がりを得る手段としての位置づけでもあった。
そうして障害者のスポーツは長い間医療と福祉としての領域に留まることになったのである。近年、バリアフリーやノーマライゼーションという言葉が一般的になり、今年4月は障害者差別解消法が制定された。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて今後障害者を取り巻く環境が変わりつつあるが、これまでの社会は健常者という多数派の都合に合わせてつくられてきたという歴史がある。マイノリティである障害者が社会に適応するためには、障害者が社会に合わせるか、社会が障害者に合わせるしかない。
スポーツをしている障害者に向けられたまなざしは社会に適応するための努力を求め、障害者がスポーツをすることは健常である身体を取り戻すため、あるいは健常者社会の一員となるための努力として映ってきたのである。
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