東京五輪の戦略的マーケティング 独占権利だけではない機会

史上最高のスポンサー収入が見込まれる東京2020。ビジネスの観点からも注目が高まる中、4年後の開催に向けて、スポーツマーケティングにどのような視点で取り組むべきなのか。過去6回のオリンピックに関わったスポーツ広報のエキスパートが成功のポイントを語る。

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出典:YouTube/Ultimate Sledding Machine FINAL

世界中の視線が注がれるオリンピックは絶好のマーケティング機会になる――。今や多くの企業が世界最大のスポーツイベントに商業価値を見出し、その恩恵を得ようとこぞってスポンサー契約に多額の資金を投じるようになった。とりわけスポンサーの最上位である、国際オリンピック委員会(以下、IOC)の「ワールドワイドパートナー」は、世界でもっとも強力なマーケティング・プラットフォームと評される。一方、IOCや大会組織委員会といった運営側にとっても、スポンサーシップから得られる収入は最大の収入源となっている。

「2020年の東京大会は、多くの企業にとってビジネスチャンスになることは間違いありません。しかし、50年前の東京大会と比べると、スポーツマーケティングは大きな進化を遂げています。まずはそのことを認識し、戦略的なプロモーションを考えなくては単に協賛金を払って広告を載せるだけで終わってしまうでしょう」

そう警鐘を鳴らすのは、過去6回のオリンピックに関わったスポーツ広報のトップエキスパート、J.J.カーター氏。世界有数のPR会社フライシュマン・ヒラードでCOO(最高執行責任者)を務める人物だ。カーター氏はNBAやプロテニス選手協会といったスポーツ団体での豊富な広報経験を持つ他、オリンピック、FIFAワールドカップなどの国際大会でスポンサープログラムのリードや組織委員会のサポートを行なってきた。

4年に1度のスポーツ祭典は企業価値を発信する好機

カーター氏によれば、「オリンピックに商業的な仕組みが導入されたのは、ほんの30年前のこと」だと言い、オリンピックにおけるスポンサーシップの変遷をこう振り返る。

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