自治体の情報配信の課題を「声のメッセージ」で解決

山鹿市は、オフトーク通信を代替し、防災行政無線を補完する、スマホを活用した音声コミュニケーションシステムを導入。自治体と住民をつなぎ、緊急時の通信手段としても期待される。

自治体と地域住民との音声によるコミュニケーション施策として「防災無線」や「オフトーク通信」等がある。しかし、防災無線は状況によっては聞き取りにくいといった問題があり、オフトーク通信はサービスの終了が発表されるなど、いくつかの課題がある。各地でそれらの代替・補完となるコミュニケーション手段が求められる中で、熊本県山鹿市が今年11月に運用を開始するスマートフォンアプリ「やまがメイト」が注目を集めている。

「やまがメイト」は、山鹿市に関する情報を簡単に受信できるスマホアプリ(写真は、開発中のイメージ)

災害時にも発揮される強み

「やまがメイト」は、山鹿市に関わる情報を音声メッセージで配信できるアプリだ。スマホやタブレットがあれば、利用するのは簡単(ガラケーやPCにも対応)。音声メッセージの「自動再生機能」を備えており、ユーザーはスマホやタブレットを家に置いておけば、それだけで必要な情報をラジオのように音声で受け取ることができる。「ただ聞くだけ」で十分なため、高齢者にも伝わりやすい。

また、「やまがメイト」は、災害時の通信手段の補完にもなる。近年、緊急時の通信手段として、デジタル防災無線も候補の一つとなっているが、その設備投資の負担は課題だ。「やまがメイト」は、すでに普及しているスマホを利用したシステムであり、導入にあたってのハードルも低い。また、災害情報を受け取った住民が、道路や建物の被害状況を返信するなど、情報収集にも使える。ほか、Googleマップと組み合わせて、地図で最も近い避難所を確認できるなど、スマホならではのメリットも数多い。

「やまがメイト」の開発を担ったのは、FM局J-WAVEのIT関連会社・J-WAVE i。同社は、自治体と住民をつなぐ音声コミュニケーションシステム「Groupair+(グループエアー・プラス)」を提供しており、それを山鹿市のニーズに合わせてカスタマイズしたのが「やまがメイト」だ。J-WAVE iの小向国靖社長は、音声メッセージの強みをこう語る。

「災害時でも、家族からのメッセージが音声で届けば、それは大きな安心感につながります。音声によるコミュニケーションには、テキスト情報では伝えられない温かみがあるのです」

温かみのあるコミュニケーションが、家族や地域の安全・安心を支え、多様な情報発信や人の交流を促すのだ。

小向国靖 J-WAVE i 代表取締役社長

コミュニティ活性化の起点に

山鹿市では、オフトーク通信の代替を検討するに当たり、市全体の新たな情報環境のしくみづくりを念頭に置き、「音声発信と自動再生」、「市民負担の軽減」、「高齢者にやさしい操作性」、「時代の流れに沿った若者も利用するサービス」、「市の活性化に役立ち全国にアピールできる取り組み」など、10項目の目標を掲げました。それらを実現するために誕生したのが、J-WAVE iさんの「Groupair+」だったのです。 J-WAVE iさんには、市からの要望にも柔軟に対応していただき、運用面でもきめ細かいアドバイスをいただいています。地域のコミュニティを活性化させる施策として、まちづくり、ひとづくりに貢献できる「やまがメイト」を全国に発信し、山鹿市のブランド力強化にも活かしたいと考えています。

築山一也 山鹿市 総務部総務課 情報管理室 室長

お問い合わせ

  1. 株式会社J-WAVE i
  2. TEL:03-5770-5311
  3. e-mail:contact@j-wavei.jp
  4. URL:http://www.j-wavei.jp/
    https://www.j-wavei.jp/groupairplus/

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