遊休施設はビジネスチャンス 合宿所に転用し、「地域の宝」に

近年、自治体が抱える遊休施設が問題となっている。R.projectは、そうした施設を譲り受け、合宿所として再生。有名観光地ではない地域に人を呼び込み、活性化させている。

R.projectは、千代田区が保有していた千葉県鋸南町の保養所を買い取り、合宿施設「サンセットブリーズ保田」として再生。現在、鋸南町には2万5000人もの宿泊者が訪れる

たくさんの人が、学校の部活動などで合宿を経験している。しかし、厳しかった練習や友人たちと過ごした時間のことは覚えていても、施設自体が思い出に残っている人は少ないだろう。

合宿所は、サービスを期待する場所ではなく、設備が古びているのも当たり前。そうしたイメージを刷新しているのが、自治体や企業の遊休施設をリノベーションし、合宿所として活用するベンチャー企業、R.projectだ。

近年、地方自治体が抱える公共施設の遊休化が進んでいる。その存在にいち早く着目したのが、R.project代表の丹埜倫氏。丹埜代表は2006年に同社を立ち上げ、千代田区が千葉県鋸南町に保有していた保養所を買い取った。

そして、スポーツ用の合宿施設「サンセットブリーズ保田」として再生。ナイター設備を備えた人工芝のフットサルコート、バーベキューエリア、150人が入れる食堂、カフェバーを増設するなど施設を拡充。リニューアル1年目から黒字化を果たし、右肩上がりに宿泊者数を伸ばしてきた。

「また行きたい」と思われる合宿所を目指し、運営されている「サンセットブリーズ保田」。150人収容の食堂やバーベキューエリア、海が見えるゆったりとした大部屋など、充実した設備を備える

「合宿」市場に商機を発見

丹埜代表の父親は、政治学者のグレゴリー・クラーク氏(多摩大学名誉学長)。父親の自由な教育方針の下で育った丹埜代表は、大学時代にスカッシュに熱中。

就職先として外資系証券会社を選んだが、それもスカッシュとの両立が可能な勤務体系だったからだ。スカッシュ日本代表として世界選手権に出場するほどのプレイヤーだったことが、現在の事業につながった。

「以前からスカッシュの普及、選手の育成をしたくて、スカッシュができる場所をつくりたいという思いがありました。ちょうど同じ頃、寂れかけていた北海道のニセコが外国人の人気で賑わいを取り戻したことを知り、エリアを変えるような仕事をしたいと思うようになったんです。それで、千代田区の保養所が取り壊されるという話を聞いたとき、合宿ビジネスで起業することを決めました」

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