アグリビジネス創出の発想法 異業種の「視点」が農業を変える

農業に参入したい企業や生産者、自治体へのコンサルティングを手掛け、実績を築いている野村アグリプランニング&アドバイザリー。社長の西澤隆氏はエコノミスト出身であり、外部の視点で農業の課題と可能性を語る。

西澤 隆(野村アグリプランニング&アドバイザリー社長)

ここ数年、数多くの企業が農業への参入を計画しており、当社が事業をスタートした2010年から相談件数やセミナー参加者は確実に増加しています。注目すべきは、従来の6次産業化の枠組みの中に位置する、飲食店や食品加工会社だけでなく、多様な業種・業態からの相談が増えていることです。

農業を「作物をつくる産業」と捉えてしまうと、広がりが生まれません。「食」に関連し、農山村に眠る資源を幅広く活用するものを「アグリビジネス」と捉えて、事業創出の可能性を考える必要があります。

農業への参入に興味を持ち、当社に相談に来る企業でも、自社の可能性を狭めて考えていることが少なくありません。アグリビジネスでは、具体的な事業を考える前に、大きな方向性を検討することが大事です。戦略の前段階にある、構想が重要になるのです。

農業は未開拓のマーケット

農業にはさまざまな規制や課題があり、それが企業の参入を阻んできました。しかし、金融的な視点で言うと、多くの企業が参入している「レッドオーシャン」の市場では、超過利潤を得るのは大変です。一方、農業は産業分野として未開拓であり、現在は規制緩和、環境変化が進んでいる過渡期で、これからビジネスチャンスが生み出される段階です。

農業が構造的に変わるのは、時間がかかります。当社が設立された2010年当時、私は、農業でビジネスが成立する環境が整うのに、10年くらいかかると思っていました。しかし、4~5年前には誰も、農協改革がこんなに話題になるとは思っていなかったように、当初、私が考えていたよりも早く、農業の世界が変わりつつあるのを実感しています。

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