自治体に広がる水害対策助成金 上手な活用で備えを万全に
「ゲリラ豪雨」とも呼ばれる局地的大雨が頻発し、建物、道路への浸水が、大きな被害をもたらしている。そのため各自治体では、対策費用を助成する制度を立ち上げている。
日本各地で局地的大雨による浸水被害が増加している。その原因は垂直方向に発達する積乱雲。狭い範囲に大量の雨を降らせるため、排水能力を超えた水は、たちまち建物や土地・道路を水で溢れさせてしまう。特にビルでは、地下に電機室や機械室など建物を管理する設備が置かれていることが多く、地下への浸水は大きな被害となりやすい。そのため、急に押し寄せる水をいかに食い止めるか、事前の備えが必要とされている。
土のうでの対応には限界
浸水を防ぐ止水設備の導入を進めるため、止水板の設置に対して助成を行う自治体も増えている(下記参照)。止水板とは、金属板等の浸水に耐える材質でつくられ、建物の出入口に設置し、取り外しや移動が可能なもの。土のうよりも軽く、設置も比較的簡単で、費用もさほどかからない。土のうでは防ぎきれないような場所で使えることもメリットだ。東京都板橋区では、浸水被害の増加から2012年4月より「止水板設置工事助成制度」を実施。その内容は、止水板設置工事等に要した費用の2分の1以内、一つの建物について50万円を限度に助成するものだ。「土のうステーションも区内60ヵ所に設置し、無料配布しています。ただ、土のうは重くて迅速に設置するのは大変。そこで止水板の助成金制度を設けています。必要な場所に使っていただきたいと考えています」(板橋区土木部工事課工事係)ただし、建築基準法違反の建物には使えず、税金滞納者には適用されないなど、条件もあるため申請時には注意が必要だ。
被害を予測して、アイテムを選ぶ
止水アイテムは止水板の他にも、さまざまなものが開発されている。多少費用がかかっても、より簡単に完全に水を止めたい場合には、スイッチ一つで対応できる防水シャッター。逆に、費用をかけずに必要最低限の止水を目指すのなら、樹脂製シートでできた止水シートといったものもある。考えられる水害の状況を予想し、それに対して、どの程度の止水が必要を考えて備えを行う。備えあれば憂いなし。助成金を使った早めの対応を心がけたい。
自治体で実施している止水板助成金制度の例
東京都板橋区 | |
助成対象・範囲 | 区内において所有または使用する建築物に、止水板設置及び関連工事を行う個人で、申請日より1年以上前から区に住民登録をしている個人、または区内に登記をしている法人 |
助成割合 | 工事費の2分の1 |
限度額 | 上限50万円 |
問い合わせ先 | 土木部工事課公務係(Tel:03-3579-2541) |
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