林野庁 グリーン成長を目指した「森林・林業基本計画」を決定

2021年6月15日、林野庁は新たな「森林・林業基本計画」が閣議決定されたことを発表した。新たな基本計画では、森林・林業・木材産業による「グリーン成長」を掲げ、森林を適正に管理し、林業・木材産業の持続性を高めながら成長発展させ、2050カーボンニュートラルも見据えた豊かな社会経済を実現していく。

基本計画では、「グリーン成長」実現に向け、以下の5つの施策に取り組む。

まず(1)森林資源の適正な管理・利用。森林資源の循環利用を進めつつ、多様で健全な姿へ誘導するため、再造林や複層林化を推進する。天然生林の保全管理や国土強靭化に向けた取組を加速させ、間伐・再造林を通じて、森林吸収量の確保・強化も図る。(2)「新しい林業」に向けた取組の展開では、新技術を取り入れ、伐採から再造林・保育に至る収支のプラス転換を可能とする「新しい林業」を展開する。林業従事者の所得と労働安全の向上を図りつつ、「長期にわたる持続的な経営」を実現できる林業経営体を育成する。

(3)木材産業の競争力の強化においては、国外産木材に対抗できる国産材製品の供給体制を整備し、国際競争力を向上する。中小地場工場などで、地域における多様なニーズに応える多品目の製品を供給できるようにし、地場競争力を向上する。

さらに、(4)都市等における「第2の森林」づくりでは、中高層建築物や非住宅分野等での新たな木材需要の獲得を目指す。また(5)新たな山村価値の創造として、山村地域において、地域資源を活かした産業の振興に加え、森林サービス産業の育成、関係人口の拡大を目指す、とした。

今回の基本計画においては、「森林の有する多面的機能の発揮」と「林産物の供給及び利用」に関する目標を定めた。まず「森林の有する多目的機能の発揮」に関する目標については、森林の適切な整備・保全等が図られた場合の5年後、10年後、20年後の育成単層林、育成複層林の面積などを指標としている。それぞれの目標として、育成単層林は、現況の1010万へクタールから20年後には970万ヘクタールに減らし、育成複層林は110万ヘクタールから190万へと増やす。

「林産物の供給及び利用」については、2019年の木材供給量3100万立方メートルを、2030年には1.4倍である4200万立方メートルまで拡大することを目標としている。また、用途別の利用量については、より丸太価格が高い製材用材や合板用材といった「建築用材等」への利用を促進することとしている。

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