スペースシフト、盛土検知・土砂崩落リスク評価システムの開発へ JAXA宇宙戦略基金(第二期)に採択

地球観測衛星データを解析するAIの開発を手がける株式会社スペースシフトは、JAXAが公募した宇宙戦略基金(第二期)の技術開発テーマ「衛星データ利用システム実装加速化事業」に採択された。技術開発課題は「マルチモーダルAIによる違法・不正盛土検知と土砂崩落リスク評価」で、株式会社ウエスコを代表機関とし、スペースシフトが連携機関として参画する。

複数の衛星データとAI技術を組み合わせて広域の盛土を自動検知し、検知された盛土の土砂崩落リスクを定量的に評価するシステムの開発を進める。合成開口レーダー(SAR)衛星データと光学衛星データを統合的に解析する深層学習モデルを活用することで、天候条件に左右されにくい安定的な監視体制の構築を目指す。自治体の調査ニーズに応じた複数の検知モードも備える予定だ。技術開発完了後は、自治体向けの盛土調査支援サービスの提供を皮切りに、インフラ管理事業者や保険・金融分野への展開、さらにはアジア諸国への海外展開も視野に入れた事業化を目指す。

プロジェクト全体の統括は、総合建設コンサルタントであるウエスコが代表機関として担い、防災・インフラ分野の知見を活かした教師データの整備やリスク評価の要素検討を担当する。スペースシフトはSAR・光学衛星データを活用した盛土検知AIアルゴリズムの開発・検証、および土砂崩落リスク算定モデルの開発・検証を受け持つ。両社の連携は、スペースシフトの事業共創プログラム「SateBiz(サテビズ)」を通じて構築されたものだ。

2021年の静岡県熱海市における盛土崩壊災害を契機に、2023年5月には盛土規制法が施行され、全国の自治体に概ね5年ごとの盛土調査が義務付けられた。しかし全国に数十万箇所以上あるとされる盛土を、限られた人員と予算で把握・監視することは各自治体の大きな課題となっている。衛星データとAIを組み合わせた広域の自動検知システムが実用化されれば、こうした行政課題の解決に向けた実効的な手段となることが期待される。