IZUTSUYAが日本刀の簡易3Dアーカイブ事業開始、文化財の記録と活用を両立

3Dスキャニング・コンテンツ開発事業などを手掛けるIZUTSUYA(東京都中央区)は2026年4月13日、三次元スキャンテクノロジー協会と共同で、日本刀の3Dデジタルアーカイブに特化した事業を開始したと発表した。第1弾として、室町時代に備前国(現・岡山県)で活躍した刀工による日本刀「助定」の3Dデータ化に成功した。

日本刀「助定」(IZUTSUYA公式プレスリリースより)

日本刀の3Dスキャンは技術的難度が高いことで知られる。研ぎ澄まされた刀身は鏡面に近い光沢を持ち、レーザーや光が反射するため、通常のスキャンでは正確な形状を取得しにくい。加えて、刃文や地鉄といった微細な模様の再現には高度な撮影技術が求められ、従来は1振りあたり数十万円から100万円以上の費用がかかることも珍しくなかった。こうしたコストが障壁となり、多くの刀剣がデジタルアーカイブの対象外となっていた。

今回、IZUTSUYAと三次元スキャンテクノロジー協会は、鏡面素材に特化した独自の撮影手法を共同開発。光源の角度や撮影環境を最適化することで鏡面反射を抑えつつ、刃文や地肌の質感を捉えることに成功した。簡易なセットアップで高品質なデータを生成するワークフローにより、初期コストを大幅に削減している。精密スキャンと比較すれば精度に差はあるものの、「これまでデータ化できなかった刀を、まず記録として残す」ことに主眼を置いた。

同事業では、初期費用を極力抑えることで所蔵者の負担をなくし、3Dデータの販売収益を所蔵者や関係者に還元するビジネスモデルを採用。データはIZUTSUYAが運営する3Dデータプラットフォーム「3Dasset.io」を通じて配信・販売される。今後はゲーム開発のリファレンス素材やデジタルコレクションなど幅広い用途への展開を見込むほか、日本刀以外の鏡面・金属素材を持つ文化財や工芸品への撮影手法の応用も計画している。