住宅メーカーの多様性実現 女性の営業社員を積極育成

経営判断で女性の新卒採用、特に営業職の増員を2005年に始めた積水ハウス。15年超にわたる、女性が働きやすい職場づくりで定着率を高め、職場の多様性と活性化を実現した。女性営業社員の貢献の可視化とともに、次代の管理職層を強化すべく、女性リーダーの育成を進める。

積水ハウスはハウスメーカーの中で、女性活躍や社員の多様性を重視する企業として知られている。2005年以来、女性社員の活躍、多様な人材の活躍、多様な働き方・ワーク・ライフバランスの推進に取り組んできた。さらに2021年4月末の株主総会で、女性取締役をそれまでの1人から3人に増やした。過去15年の歩みを、積水ハウス 執行役員 ダイバーシティ推進担当(取材当時、現・ 常任監査役)の伊藤みどり氏、同執行役員 ダイバーシティ推進部長の山田実和氏に聞いた。

変化は女性営業職の積極採用から

積水ハウスは、大阪市に本社を置き、全国に支店を持つ住宅メーカー。戸建住宅のほか、賃貸住宅やマンションも手掛けている。伝統的に建設業界は男性社会で、同社も社員に占める女性の割合は少なかったが、2005年から女性営業職の積極採用を開始。「将来を見据え、多様なチカラを活かし、成長するために女性営業職を採用すべき」という、経営陣の判断に基づくものだった。具体的には、新卒採用の営業職に女性が占める割合を20%とする、という目標を立てた。

伊藤氏は当時の状況について、「それまで技術職を中心に10~20人程度だった新卒の女性総合職が、100人単位で入社することになりました。ただ、これだけ採用しても、全国に支店が多くある中で、配属先には女性営業職は1人いるかいないか。現場でも女性営業職の扱い方が分からないため働きづらさがあり、長続きしなかった状態が続きました」と振り返る。

伊藤 みどり 積水ハウス 常任監査役

人材採用にはコストがかかるため、離職の可能性が高い人を採用することは、それだけでリスクになる。それでも積水ハウスが女性営業職の採用を継続した背景には、「女性の活躍なくして、企業の成長はない」という、前社長の阿部俊則特別顧問の理念があった。そこで、採用と並行して2006年には女性活躍推進グループを設置し、女性社員が働くうえでの課題を洗い出していった。

「その中から、特に女性の営業職の大変さが浮かび上がってきました。そこで、女性営業職を特に支援する取組を開始しました」と、同グループで、全国の支店を回り、女性社員の状況を調査した伊藤氏はいう。

ターゲットを女性営業職に絞り、女性営業職の育成のための「全国女性営業交流会」を2007年に開始。当時、この企画を立てたのは、現・代表取締役 社長執行役員 兼CEOの仲井嘉浩氏だという。交流会の内容は、経営トップによる業績表彰や講話、成功事例発表やグループディスカッションを実施するというもの。各人のモチベーションを高めたり、他の拠点の女性営業職とのネットワーキングを通じて、孤立を避けることを狙った。また、経営幹部や営業部門の責任者も参加することで女性活躍への共通認識を浸透させた。交流会は現在も継続しており、コロナ危機下の2020年にはオンラインでの開催に、女性営業、役員、サポーター店長等、約500人が参加した。

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