石狩市 工業団地の「再エネ100%エリア」で産業振興を図る

良好な風況と広大な土地を有する石狩市には、風力発電や太陽光発電が多く集積する。これを活かし、同市内の工業団地・石狩湾新港地域では、再エネ活用を進めてきた。"脱炭素"を前提とした産業振興について、石狩市で企業誘致を担当する堂屋敷誠氏に聞いた。

堂屋敷 誠 石狩市 企画経済部 企業連携推進課 課長

再エネ供給を武器にした
産業空間の創出

「地方は"個性の時代"に移っています」と話すのは、石狩市・企業連携推進課長の堂屋敷誠氏。東京に倣い、金太郎飴的な発想で均一なまちづくりを続けてきた地方都市。しかし、東京一極集中の傾向が続く今、人口流出や産業の空洞化を食い止めるには、地方がもっと個性を磨く必要がある。

石狩市への企業誘致を担当する堂屋敷氏にとっても、いかに他の地域との差別化を図るかが大きな悩みだった。そんな中、着目したのが市内に多く集積する風力発電や太陽光発電。

2050年のカーボンニュートラルに向け、再生可能エネルギー(再エネ)導入は1丁目1番地となるが、同市ではこれに先駆け、1972年から開発が進められてきた石狩湾新港地域において、2017年頃から〈再エネ100%ゾーン〉を企画。再エネ供給を売りにした企業誘致を進めてきた。背景には、事業活動で使用する電力のすべてを再エネで賄うことを目指す国際イニシアチブ〈RE100〉などの動きがある。

「再エネを使える産業空間が、他地域との競争力になります。再エネの"地産地活"によって新たな産業振興を図っていこうという視点で、取り組みを進めてきました」

自然条件で考えれば、石狩市への再エネ導入は今後も進むことが見込まれる。同市としては、導入された再エネを地域で使えるよう、システムを整えていく役割を担う。現状では、再エネを活用した事業に挑戦する企業の課題や障壁に対しオーダーメイドで、行政という立場から課題解決への支援を行う。具体的には、ノウハウを持つ他企業とつないだり、規制やルールのクリアに向けて、関係官庁との調整を行っているという。

2019年6月には、北海道電力と『再生可能エネルギー発電事業に関する地域連携協定』を締結。技術的なノウハウを持つ北海道電力の協力のもと、地域の電力会社と自治体がタッグを組んで支援できる体制を整え、再エネを活用した事業の展開を支援する。

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