2020年7月号
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SDGsの実践 あるべき指標と評価

企業と自治体はどのように協力できるのか?(2)

馬奈木 俊介(九州大学工学研究院主幹教授 都市研究センター長)、朴 香丹(九州大学都市研究センター 助教)

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(1)久山町(福岡県)・九電グループの協力事業を評価する

前回の記事で説明したように、企業と自治体が協力し、地域の持続可能性を高めようとする活動が盛んになっている。企業と自治体の提携を円滑にするためには、企業は自治体のニーズを把握すること、自治体は課題を把握することのそれぞれの努力が重要である。

今回は、久山町と九電グループとの提携を例に企業と自治体の上手な付き合い方について考える。また、前回説明した新国富指標が企業と自治体の提携にどのように利用できるのかについても説明する。

まず、新国富指標について簡単におさらいしてみよう(詳細は前回の記事を参照,前記事のリンク)。新国富指標は、経済活動から生み出される建物やインフラなどによって評価される人工資本に加えて、国民の教育水準や労働環境を反映した人的資本、自然の豊かさを反映した自然資本から構成される。これら3つの資本は、遠い将来にわたって人々の生活水準の維持と向上を図る上で必要な資源である。新国富指標ではこれらの資源を金額で表示しており、社会が持続的発展可能な水準にあるかどうかを評価する際の参考指標とする。

新国富指標は、ある政策を実施するための費用に対して、その政策がもたらす社会全体への便益を評価する際に用いることができる。では実際にどのように企業と自治体が協力する政策の現場で使われているだろうか。今回は、福岡県久山町での事例で説明する。

今回の事例の久山町は、福岡市の東に隣接する人口約9,000人の町で、「国土の健康」「社会の健康」「人間の健康」を町政の柱に掲げている(九州から未来を創る九電グループ, 2019, http://www.kyuden.co.jp/press_h190607c-1.html)。一方、九州電力グループ(以下九電グループ)は国内電気事業、エネルギー関連事業、海外事業、ICTサービス事業、都市開発・街づくり、インフラサービスなどの事業から構成されている事業体であり、社会課題の解決をはじめとした多様な取り組みを進めている(福岡県久山町 http://www.town.hisayama.fukuoka.jp/kanko/)。

九電グループが久山町で新たに提供するサービスについて、九州大学都市研究センター(以下、九州大学)は、これまで金額で表すことが難しかった住民サービスの満足度を試算し、地域資源を十分に活用するための評価指標として新国富指標を活用した(九州大学プレスリリース, 2015, https://www.kyushu-u.ac.jp/f/5972/2015_12_07_1.pdf)。

すなわち、新国富の枠組を政策立案につなげるにあたって、久山町ならびに九電グループと、「地域・社会の課題解決に向け持続可能なまちづくりに関する包括提携協定」を締結して、新たなプロジェクトを始めたのである。図1は今回の共同プロジェクトの提携イメージを説明したものだ(九電グループプレスリリース,2018,http://www.kyuden.co.jp/press_h181219-1_smt.html;九州大学プレスリリース,2018, https://www.kyushu-u.ac.jp/f/34770/18_12_19.pdf)。

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