家入一真氏が語る コロナ後の新ビジネス、加速するデジタル化の先

クラウドファンディングの「CAMPFIRE」をはじめ、数々のビジネスを立ち上げてきたシリアルアントレプレナー、家入一真氏。コロナ後の世界では、どのような新ビジネスが生まれるのか。コロナ禍によりデジタルシフトが加速する中で、家入氏は変化の「本質」を問いかける。

家入 一真(CAMPFIRE 代表取締役)

加速度的に成長する
クラウドファンディング

――コロナ禍において、たくさんの事業者や個人が「CAMPFIRE」を利用して資金調達をするなど、クラウドファンディングの存在感は増しています。コロナ禍は、経済やビジネスをどのように変えていくと見ていますか。

家入 私もまだ整理しきれていないのが正直なところです。個人的にはコロナ禍の当初、世界の経済が大打撃を受ける中で、何兆円、何千億円の国家予算レベルの取り組みでないと人々を救えないのではないか。私たちのようなフィンテックをはじめ、テック企業は既存産業をディストラクション(破壊)すると勢いよく言ってきたけど、結局のところ無力ではないか。そう思った瞬間もありました。

でも、私たちのようなスタートアップは、スピード感を持って対応できる強みがあります。今、私たちにできることをと考え、CAMPFIREは今年2月、イベント中止・自粛を発表したアーティストやイベント事業者、来店客数が減少した飲食店・宿泊施設、生産者などを対象に通常12%のサービス手数料を0%にするサポートプログラムを始めました。

「CAMPFIRE」は2020年4月単月の流通額が22億円・支援者数22万人となり、昨月比約2倍・昨年同月比約4倍と利用が急増しています。また、私が社外取締役を務める、誰でも簡単にモノが売れる仕組みを提供するECサービス「BASE」も成長を遂げています。

CAMPFIREのミッションは「資金集めを民主化し、世界中の誰しもが声をあげられる世の中をつくる。」コロナ禍に対応した支援プログラムは、数多くの事業者、個人に利用されている

飲食やエンタメ、モノづくりなど、コロナ禍をきっかけに、これまではオンライン化されていなかった事業が急速にオンライン化されています。リアルでのつながりに価値があったと考えられていた事業でも、オンラインで事業者や個人の思い、熱量を届けられることが浸透してきました。今、自分たちの事業が必要とされている時代になってきたという実感があります。

今後、どのような新ビジネスが
生まれるのか?

――オフラインがオンライン化していく流れは、何を生み出すと思いますか。

家入 すべてがオンライン化されるとは思っていなくて、実際、私自身はオンライン飲み会が苦手。終わるタイミングがよくわからなくて、何も言わずに退出して自己嫌悪に陥ったりしています(笑)。

今、「コロナ禍で生き方、働き方が変わる!」といったある種の躁状態も生まれていて、「オンライン飲み会で十分、今までは無駄のことをしていた」という声もあがりやすくなっています。でも、実はその「無駄」にこそ大切な価値があるかもしれない。一方で、私はリアル飲み会が一番だと思っているわけでもありません。

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