変化の時代、シェア経済は拡大へ ギグエコノミーが地方でも伸長

コロナ禍の非常時において、変動への強さを発揮し、存在感を増しているシェアリングエコノミー。上場企業・ガイアックスの社長であり、シェアリングエコノミー協会・代表理事を務める上田祐司氏は、これから会社や働き方が変わり、「本当の豊かさ」に資するサービスが成長すると語る。

上田 祐司(シェアリングエコノミー協会 代表理事/ガイアックス 代表執行役社長)

変化の時代に発揮される
シェアリングエコノミーの真価

――ホテルでの軽症コロナ患者の受け入れや、タクシーでの宅配荷物運搬なども広い意味でのシェアリングと言うことができますし、非常時においてシェアリングエコノミーは存在感を増していると思います。

コロナ禍によるシェアリングエコノミーへの影響について、どのように見ていますか。

上田 シェアリングエコノミーの領域は多岐にわたりますから、個々の領域によって影響は異なります。民泊などの宿泊系、リアルイベントやコミュニティなどの体験型、カーシェアなどの移動サービスなどは他の産業と同じくダメージを受けています。一方、休校措置や在宅勤務が増えた中で、Uber Eatsのような宅配サービス、ベビーシッターや家事代行サービス、オンライン教育やオンラインアシスタントなどの利用は増えています。

具体的に言うと、クラウドソーシングを提供するクラウドワークスやランサーズ、スキルマーケットのココナラ、面接・履歴書不要で空き時間にすぐに働けるバイトアプリ「Timee(タイミー)」などは伸びています。

「Timee」はコロナ禍以前、飲食店などが繁忙期に単発で働ける人を採用するために使われていましたが、宅配や出前が急増した今は宅配ドライバーの募集に利用されています。従来のような人材サービスでは、そうした柔軟な対応は難しかったでしょう。シェアリングエコノミーが変動に強いことがわかる事例だと思います。

「会社」「働き方」の概念が変わる

――コロナ禍が人の価値観、ライフスタイル、社会に及ぼす影響については、どのように見ていますか。

上田 一番大きなインパクトは、オンライン化やリモート化が進み、「会社」や「働き方」の概念が変わり始めたことです。今まではオフィスで同僚と顔を合わせて一緒に働くのが当たり前でした。しかし、たくさんの人が自宅にいながら独りで仕事をすることを経験し、「同僚」や「組織」の概念が捉え直されています。

オンライン化やリモート化の進展で働き方の柔軟性は高まります。本業だけではなく、複数の収益源を持つ人も増えるでしょう。

私が社長を務めるガイアックスは、この3月に上場企業で日本初の出席型オンライン株主総会を開催しましたが、コロナ禍以前からリモートワークを導入していたので、社員はそれぞれ好きなところで仕事をし、地方に住んでいる社員もいます。最近、本部長がオランダに引っ越しましたが、それは現地の仕事するためではなく、「オランダに住みたいから」という理由でした。また、世界一周しながら働いている社員もいます。これからの時代、働き方やライフスタイルの多様化はどんどん進んでいくでしょう。

複数の拠点で働く人も増えると思います。ガイアックスは「Nagatacho GRiD(永田町グリッド)」というコミュニティビル(シェアオフィス)を運営していますが、コロナ禍の影響で解約が出ており、短期的には売上げが落ちています。しかし、中長期的に見ると、オフィス賃料などの固定費を削減しようとする動きは加速することが予想され、既にガイアックスはシェアオフィス事業の拡大に向けて、新たな物件確保に動いています。

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