2020年7月号
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コロナ後の推測

坂村健教授 DXで実現する危機に強い社会 ネット基盤整備が進む

坂村 健(東洋大学情報連携学部 教授)

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ウイルス感染を避けるため、対面の接触を減らした社会が頼ったのはインターネット。いち早くデジタル化を進めた組織は、流行下でもスムースに新しい仕事の進め方に移行できた。日常の生産性向上にも、今後の危機に備える意味でも、デジタル化とネット環境の向上が必要だ。

坂村 健(さかむら・けん)東洋大学 情報連携学部 教授 学部長

世界的に感染症が広がる中、安全なコミュニケーションの手段として、インターネットが欠かせない存在となっている。1980年代から、あらゆるものがネット接続されたIoTの概念を構築し、現在は東洋大学情報連携学部(INIAD)学部長を務める坂村健氏は、今回の出来事で日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)が否応なく加速されると予測する。

DXを実現した組織の強さ

坂村氏を学部長として、2017年度に発足したINIADでは、新型コロナウイルス感染症の影響をあまり受けずに教育活動を進めている。INIADは、コンピュータサイエンスに基盤を置き、プログラミングやコミュニケーションを学ぶ学部だ。

開設に当たって、インターネットやデジタル機器の利用を前提に組織づくりをした。多くの授業はオンラインと少人数制ディスカッションの組み合わせで、大教室授業は講演会などである。全学生が入学時からPCとインターネットの接続環境を持ち、入学後にまずはコミュニケーションの方法を学ぶ。オンライン授業に取り組む姿勢や、生産性の高いウェブ会議のためのルールなども学習の内容に入っている。

新型コロナウイルス感染症の影響で急きょ、オンライン授業を導入した大学では混乱が生じたりもしているが、「INIADは当初からデジタル化した体制で運営しているので、コロナの影響にスムースに対応できています」と坂村氏は話す。2020年度の新入生で、ネットインフラが整っていない地方や海外から接続しなければならないケースを除き、ほぼ問題は生じていないという。

「インターネットは重要なもの、時代が進むにつれさらに重要性が増すと考えてきました。INIADはあらゆることがデジタル化する社会を前提に開設された学部で、構内のITインフラについてもあらゆる整備をしています。ITに合わせて業務プロセスを組み立て直す、根本的なDXを実施した組織の強さが、コロナ危機で発揮されました」。

新型コロナウイルス感染症の流行拡大は社会を様々な形で変えつつある。インターネットが不可欠な基盤であることを、多くの人や企業・組織が身をもって知るようになったことは、中でも大きな変化の1つだ。坂村氏はこれをきっかけに、DXの重要性に対する理解が進むと期待している。

2017年にINIADの開設と合わせてオープンした東洋大学赤羽台キャンパス。「紙を一切使わない」という方針のもと、全てをデジタル化した。モノとしての本を収めた図書館や、印刷物を貼付する掲示板はない

未来のネットインフラへ更新が必須

坂村氏は、アフターコロナの社会では、DXとあわせて、インターネット基盤の強化が進むと見ている。4月に緊急事態宣言が出される前までは、誰もが問題なく使えていたインターネットが、数日で一挙に過密状態に陥った。在宅勤務の導入で、オンライン会議が急増したためだ。

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