2020年7月号
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コロナ後の推測

求められる医療のDX 「通院しない」未来は来るか

加藤 浩晃(日本医療ベンチャー協会 理事)

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医療業界は従来からデジタル化の必要性が指摘されていた業種のひとつでもある。今回のコロナ危機は業界にどのような影響を与えるのか、デジタルヘルスを専門とする医師であり起業家、さらに医学教育者としての顔も持つ、加藤浩晃氏が見る“未来の医療”とは。

デジタル化の遅れた医療業界

医療業界はデジタル化が最も遅れている業界のひとつといってよいと思う。他業界で当たり前に進んでいるようなデジタル化であっても、医療という人の命にかかわる領域だからこその慎重さ、医療業界全体のITリテラシーの低さ、診断や治療の質といった「医学」を突き詰める以外のことは見向きをするべきではないといったような空気感などもあり、なかなかデジタル化が進んでいない。

筆者は医師になって13年だが、変わったのは紙カルテが電子カルテになったくらいだ。もう少し医療業界のイメージを持ってもらうためにデータを共有すると、医師32万人の平均年齢は49.9歳、クリニックの医師に限った平均年齢はなんと60歳だ。70歳でも50%の医師が診療に従事している。高い年齢層が支えている今の保険医療システムは、1960年代に国民皆保険ができてからまったく変わっていない。

コロナ対策のために進む
オンライン化

このような医療業界でも、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために世の中がオンライン化していることにあわせて、やっと重い腰を上げてオンライン化が進みつつある。

医療のオンライン化の代表的なものがオンライン診療(遠隔診療)だが、これはもともと1997年から一部使われるようになっていた。一番の大きな変化は2015年8月だ。ここで出された厚生労働省(以下、厚労省)の事務連絡により遠隔診療は解禁となったが、2018年4月から再び保険制度の変更により、遠隔診療が行える場面が限定的になっていた。筆者の専門領域である眼科では2018年4月以降、保険診療でほとんど遠隔診療は行えなくなっていた。それが、2020年4月10日、新型コロナウイルスの感染拡大防止への対応として厚労省からの事務連絡により、すべての診療科において時限的だが、遠隔診療が行えるようになっている。それも遠隔診療の際に専門的な医療システムを使う必要はなく、LINEテレビ電話やテレビ会議システムのZoomといった汎用ツールを使って、遠隔診療を行うことができる。

さらに一番の変化としては、今までまったく進んでこなかった、保険診療での初診からのオンライン診療を行えるようになったことが挙げられる。現状としては、体調が悪いときには病院にわざわざ行く必要はなく、何かしらのテレビ電話システムを活用して画面越しに医師の診察を受け、薬が出された場合は、自分の指定した薬局に処方箋をやり取りしてくれる。出された薬は、薬局に直接取りに行ってもいいし、診察と同様のオンラインで薬の説明を受けて、郵送してもらうことも可能だ。

筆者自身は遠隔医療を専門にして早8年ほど経過するが、この8年で進んできた変化以上の変化がここ2カ月で起きていることに衝撃を受けている。ただ、ひとつ注意が必要なのは、上記のような医療現場の現状の変化は「時限的なもの」として厚労省から指示され行われているものだということだ。厚労省の言葉を借りると「院内感染のリスクが低減され、患者が安心して医療機関の外来を受診できる頃」までの期間限定ということだ。

オンライン診療は
“ニューノーマル”となるか

本テーマのポストコロナでの医療業界がどうなるかは、この期間がどのくらいの長さになるかで変わってくると考えている。医療業界のオンライン化をオンライン診療の導入医療機関数で見てみると、コロナウイルス感染拡大の前はオンライン診療システムを提供する各社の情報を合わせるに約3000クリニック程度だった。それが現在、厚労省のホームページでは、約1万数千施設の医療機関がオンライン診療(電話での診療も含む)に対応していると発表されている。オンライン診療の対応医療機関はもう少し自粛が続いて増えたとしても、2万~多くて3万施設までだと考えている。クリニックは全国に約10万施設あるため、20%程度の対応率であれば、全体としては半数以下になる。

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