遊び方、働き方、生き方... コロナから見える若者世代の価値観

社会のあり方全体を揺るがしているコロナショック。今の時代を、20代を中心とした若者はどう受け止め、対応しているのか。ポストコロナの社会で中心世代となる若者の思考について、マーケティング領域から若者世代の研究を行う藤本耕平氏に聞いた。

藤本 耕平(若者研究マーケッター)

社会の"コロナシフト"に
対応する若者たち

外に出られない、集えないという制約がある毎日にフラストレーションを溜めている人は多い。しかし、フラストレーションは制約そのものに起因するわけではないようだ。

1985年以降に生まれた世代を"つくし(尽くし)世代"と命名、こうした若者とともに商品・キャンペーン開発などを行う藤本氏は「フラストレーションを抱えてしまうのは固定概念にとらわれているためでしょう。若者世代は、制約があることに困りこそすれ、それを解消して元通りに、と固執する人は少ない印象です。制約を受け入れたうえで、"じゃあどうするか""どう楽しむか"と柔軟に対応しています」と話す。

藤本氏が命名した"つくし世代"は1985年以降に生まれた世代を指す。教育現場で個性の尊重や思考力の養成を目指したアクティブラーニングが導入された以降の世代であり、自分の意見をしっかりと持ちつつも、他者を尊重して過剰な干渉を避ける傾向があるという。人づきあいを大切にし、友人同士でつながりを保ったり確認したりするためのプチギフト文化が盛んで、こうした"相手に尽くす"消費行動から、"つくし世代"と名付けられた

若者たちはさまざまな楽しみ方を編み出している。広い世代に受け入れられつつある"オンライン飲み会"では、参加者同士で事前にAmazonなどで品物を送りあう。飲み会時に一斉に開封してサプライズを楽しむことで、オンライン飲み会の価値を高めている。NetflixやAmazonプライムといったネットストリーミングの番組は、遠隔でもタイミングを合わせて、数人で同時に視聴する。同じシーンをリアルタイムで共有できるので、感情も共有できる。その他にも画面越しに描いた絵を順々に回していく"お絵描きしりとり"をしたりと、普段、リアルで集まってするようなことをオンライン上でも楽しんでいる。

また、藤本氏が接する若者たちの間では、小顔ケアやメイクの研究、名店のレシピで再現料理など、時間がかかる美容や料理への興味も高まっているという。

若者ならではのこういった"コロナの過ごし方"は、特定のインフルエンサーだけが発信しているわけではない。一人一人が自身の体験をTwitterやInstagram、Tik TokなどのSNSで発信し、シェアされていったことで広まっているようだ。

「上の世代が"普段のやりたいことができない"と嘆く人が少なくないのに対し、今を前向きに楽しんで消化していこうと早い段階で切り替え、行動に移しているのが若者のすごさだと感じています」

ウィズコロナで強まる
"人とのつながりニーズ"

コロナウイルスとの共生、ウィズコロナの対応が進むなか、これまで主従の位置づけであった"対面"と"オンライン"は、同等の選択肢として捉えられるようになってきた。今後、リアルとオンラインはメリハリある使われ方がされるようになっていくだろうと藤本氏は指摘する。

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