2020年7月号
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コロナ後の推測

日本は「低密度居住社会」へ 感染症が可視化した一極集中のリスク

小田切 徳美(明治大学 農学部教授)

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新型コロナウイルスの流行は、皆で集まり、交流の中から新しいものを作り出す活動を阻害した。色々な人の関わりの下で進んできた地方創生の取組は、大きなダメージを受けている。一方で、低密度居住、食料の自給へ向けた農村への回帰など、一極集中を解消する動きも期待できる。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国内の人の往来は激減した。国内線の飛行機は本数を減らし、新幹線では乗車率0パーセントを記録するものまで現れた。都市一極集中を解消し、地方に活気を取り戻すべく進められてきた地方創生の動きは今後、どうなるのか。明治大学農学部の小田切徳美教授(大学院農学研究科長)に話を聞いた。

小田切 徳美(明治大学 農学部教授)

人の交流を阻害するウイルス

2014年のまち・ひと・しごと創生本部の創設以来、農村や過疎地の活性化は国の重要課題として取り組まれてきた。2020年度は、第2期総合戦略に基づく地域づくりの1年目。国が2019年に発表した基本方針に基づき、「関係人口」の創出・拡大が図られるはずだった。

「そもそも地域づくりは、ソーシャルディスタンスを縮めることから始まるものです。新型コロナウイルス感染症は、様々な人が交流して地域づくりをする、その根本に大打撃を与えています」と小田切氏は話す。

地域づくり活動では、大小のイベントやワークショップ、そしてその後の飲み会などで人々が集まり、将来の構想やアイデア、実現するための方策を話し合ってきた。地域に関与する、多様な背景を持つ人々が納得できる「合意」を形成するプロセスでは、このような皆が参加する場が必要とされる。また、地域を運営するプロセスでは、多様な主体がごちゃ混ぜに関わることで、多くの人にとって住みやすく、魅力的な場所が作られていく。このような活動は、感染拡大を防ぐために自粛が要請されている「密接」や「密集」そのものともいえる。感染症の流行が収束するまでは避けざるを得ない。

地域の小規模事業者の経済活動が受けた打撃も深刻だ。自粛による観光客の減少により、各地で盛り上がりつつあった経済的な取り組み、例えば農家民泊・農家レストランや、土産物・特産品を生産する6次産業の収入の柱が消えた。訪日外国人観光客は激減し、インバウンド対応ビジネスも失われてしまった。地域おこし協力隊を中心とする移住者がそれぞれの創意で進めていた地方での「プチ起業」も、壊滅状況に陥っている。

「地域の小さなビジネスは、個人の頑張りで維持されているものや、チャレンジ途上で実績が無いものも多いのです。資金面に加え、心が折れそうになっている経営者に寄り添った支援など、漏れのない政策支援が必要になります」。

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