2020年7月号
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コロナ後の推測

竹中平蔵氏 アフター・パンデミックの日本経済、強みを守り弱点克服を

竹中 平蔵(慶應義塾大学 名誉教授、東洋大学 教授)

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緊急事態宣言のもと、新型コロナウイルス感染症のコントロールに取り組んだ日本。コロナ危機下で露になった弱みを克服し、強みを維持・強化することで、パンデミック終息後に世界が向かう「ニューノーマル」の中での立ち位置が決まる。

竹中 平蔵(たけなか・へいぞう)慶應義塾大学 名誉教授、東洋大学 教授

新型コロナウイルスに関して4月に発せられた緊急事態宣言が、さらに延長されることが5月4日に決まった。今のところ日本は、人口当たり死者数に関して諸外国よりもかなり低くなっている。しかし一方で、PCR検査の数が圧倒的に少ないこと、医療関連の資材・器具が不足していること、医療現場が混乱していることなど、多くの問題を抱えている。経済の深刻な落ち込みも懸念される。

現状の危機をしっかりと乗り切ることは言うまでもないが、その際パンデミック収束後の世界を見据えた対応、つまり短期・長期で整合的な政策を採ることが重要になる。

パンデミックの歴史の教訓

人類はこれまで、様々なパンデミックを経験し、なんとかこれを克服してきた。そこから生まれた重要な教訓がある。第一に、パンデミックによって従前とは違う世界(ニューノーマル)が作られること。より具体的に、すでに起こりつつあった変化が、一気に加速されるということだ。第二は、危機的状況の中で、その国が持つ強さと弱さが露呈されるということだ。社会の強さを堅持し弱さを克服できるかどうかで、パンデミック後の国の存在感は大きく異なることになる。

まず、今回のコロナ危機をきっかけに、世界がどのような方向を目指すのか、ニューノーマルの2つの潮流を考えよう。

今回のコロナ危機以前から見えていた大きな潮流の1つは、言うまでもなくインターネットに象徴される経済社会のデジタル化だ。デジタル資本主義の競争、と言っても良い。さらに近年は、ビッグデータや人工知能などの要素が加わり、第4次産業革命と呼ばれるような状況が出現してきた。そうした中、今回のコロナ危機で人の移動が徹底的に制限され、遠隔診療、遠隔教育、在宅勤務などへの期待が一気に広がった。

中国では、アリババが自社の遠隔会議システム・DingTalk(ディントーク)を、1000万社の企業に無料で配布した。中国の全企業数は2200万社と言われており、その半数近くに在宅勤務のインフラが整ったことになる。国土が広く、出張や通勤のコストが高い中国で、今後高い生産性上昇が期待される。また台湾や韓国では、ビッグデータと人工知能を組み合わせて感染を封じ込めたと伝えられている。

デジタル化で生産性の向上を実現

アリババはDingTalkによる「国際医療専門家コミュニケーション・プラットフォーム」を3月に立ち上げた。AIによるリアルタイム翻訳が使える

 

一方日本では、保健所の職員らが電話で聞き取りをするなど依然としてアナログな対応となり、封じ込めが遅れている。デジタル資本主義とは、まさにこうした形で広義のデジタル技術を駆使できるか、それを社会の制度が支えているかを競う競争社会なのだ。

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