2020年1月号

実務家教員による大学教育

Society5.0時代、ジェネリックスキルとしての実務家教員

川山 竜二(学校法人先端教育機構 社会情報大学院大学 研究科長・教授)

0
​ ​ ​

Society5.0といわれる現代社会に対応するスキルとして、実務家教員に求められるスキルが合致するのではないか。つまり、知識社会を生き抜くための「メタ化」戦略である。実務家教員に求められる能力は、今の社会から求められるジェネリック・スキルなのかもしれない。

Society5.0

Society5.0と謳われて久しい。Society5.0は「超スマート社会」と称されるように、さまざまな先端的な科学技術を用いて、経済発展と社会的課題を解決することを提唱している。ここでよく例として引き合いに出されるのが、IoTやAIなどの情報技術の分野である。この社会のありようをよく考えてみると「知識社会」なのではないだろうか。つまり、ポイントは「情報・知識の利活用」である。こうしたさまざまな情報技術を活用しようと考えると、①そもそも情報・知識を流通されるためのインフラが必要だ。この点については「5G」などの技術の普及など積極的な施策が打たれている。他方で、②情報・知識が大量に流通するにあたっては、情報・知識を整理するための知識やスキルが必要となる。知識を整理する「知識のための知識」は、まだ普及していないのが現状である。

社会人の学びなおしを超えて

多くの情報や知識が流通するようになると、必然的に知識のアップデートも頻繁に行われるようになる。量的にも質的にも変化が激しくなるので、常に新たな知識を習得し続ける必要が生じる。人生100年時代とともに語られる「社会人の学び直し」は、こうした文脈のもとで語られる。そう考えると、新しい知識を学んでもすぐに知識が陳腐化して、学んでも学んでもきりがないことになる。そのような事態にならないためにも、知識社会における「知識についての知識」を身につける「メタ化」戦略が必要なのではないか。知識や情報が大量に流通するなかで求められる能力は「情報・知識を整理するためのスキル」である。

ジェネリックスキルとしての
実務家教員的能力

これから身につけるべき能力と実務家教員が求められる能力が、符合するのではないかと考えられる。つまり、学び続けなければならないというのは「知識のフォロワー的な体質」である。新たな知識が出てくるたびに知識を学ぼうとするのではなく、新しい知識を作り出そうとする姿勢が重要である。これを「知識のリーダー的体質」と呼ぼう。もう一つ「知識のリーダー的体質」で重要なことは新たに作り出した知識を、どのように役立て組織・社会に位置づけられるのかということを把握することである。こうした知識についての知識について考える「メタ戦略」的な視点が求められるであろう。こうした能力は、実務家教員の研究能力に合致するところでもある。他方で、新たな知識を作り出したり、あるいは組織や社会に位置づけるだけでは不十分である。つまり、それを誰かに共有できなければ意味がない。新たな知識そのものにも、共有可能性を求められるが、どのように教えることができるのかという点も重要になってくる。どのような知見がどのような場面で必要であり、どのように指導し共有することができるのか、というのは実務家教員の教育指導力が射程に入ってくる。

そう考えると、実務家教員に必要とされている能力はこれからのSociety5.0時代の社会を生きていくために必要なジェネリックスキルなのかもしれない。

 

0
​ ​ ​

バックナンバー

メルマガで記事を受け取る

メルマガ会員限定で、
ピックアップしたオンライン記事を
毎日お届けします。

以下でメルマガの登録ができます。

購読申し込みで全記事が読める

2018年4月号「SDGs×イノベーション」完売!

会員になって購読すれば、バックナンバー全記事が読めます。PC・スマートフォン・タブレットで読める電子ブックもご用意しています。

バックナンバー検索

注目のバックナンバーはこちら

最新情報をチェック。

会員になると 最新「事業構想」が読み放題。さらに

会員の特典をもっとみる