環境を守り世界進出へ ルールメイキングへの積極的な参加を

COP24では、パリ協定の実施に向けたルール作りが争点となった。欧州主導で進むルールメイキングの中に、いかに日本の技術を入れ込めるか。今、日本企業に経営戦略の1つとして国の政策や国際的なルール形成に積極的に取組んでいくことが求められる。

岩本 隆 慶応義塾大学特任教授

活動しやすいようルールを変える

前職のドリームインキュベーターで、民間の立場から、政策と連携した新産業創出(産業プロデュース)を多く手がけてきた慶応義塾大学の岩本隆特任教授。「新規事業、ユニークな技術の事業化におけるコンサルティングを行ってきましたが、例えば、バイオテクノロジーや環境などの分野のコンサルティングをすると、既存の枠組みの中でビジネスモデルを考えても、絶対に成立しません」と話す。

日本企業はこれまで、世の中に既に存在しているルールの中で、製品の品質を高めることに注力し、競争力を保ってきた。しかし、テクノロジーが進化し、今までにない新しい製品、イノベーティブなサービスが求められる今、ルール形成が重要度を増してきている。どれだけ技術力を持った会社でも、ルール次第では、経営難に追い込まれることがあるからだ。

ルール形成により実現される効果

 

一方で、2015年のパリ協定以降、世界は脱炭素化に向けて舵を切っている。SDGsやESGなど、社会課題や環境課題とビジネスを繋げて考える動きが世界で起こっており、大きな変化に合わせ、様々な分野で新たなルールメイキングが始まっている。

日本企業はこれまで、国家間交渉において日本政府に意見を述べることが少なく、ルール形成戦略に対しての意識は薄かったと言える。対して、米国や欧州の国々の政府は企業からの要請を受けて交渉にのぞんでいることが大きな違いだ。

「米国も欧州も『地球のために』という傘をかぶりながら、自国の産業政策として動いています。対して日本は単なる環境政策になっており、環境ビジネスの『ビジネス』の部分が抜け落ちている。これからの日本の民間企業は、もっと国家間交渉に関心を持つべきですし、政策に積極的に関わるべきだと思います」(岩本氏)。

新たなロビー活動の啓発

戦後、主に米国に与えられたルールの中で過ごしてきた日本。ルールメイキングの発想もなければ教える人もいない。それが、日本のルールメイキングに対する意識の薄さに繋がっている。

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