リユースの新ビジネス 世界中のブランド品の「価値」を見える化
リユース業の常識を変え、急成長を遂げて東証マザーズに上場したSOU。元Jリーガーでもある嵜本晋輔社長は、「リユース業界に疑問を感じ続けたことが成長の原動力」と語る。そして、「世界一、モノの価値を正しく伝えられる会社」として、新たなビジネスを構想する。
一般顧客からブランド品を仕入れ、リユース事業者向けのオークションで販売するSOU(ソウ)。CtoBtoBのビジネスモデルで独自のポジションを築き、2011年の設立から7年で売上高は315億円(2018年8月期)。2018年3月にはマザーズ上場を果たしている。
SOUを立ち上げたのは、Jリーグ・ガンバ大阪の元選手、嵜本晋輔氏だ。もともと、嵜本社長の実家はリサイクルショップを営んでいた。2003年、21歳でガンバ大阪から戦力外通告を受けた嵜本社長は、翌2004年に当時JFLに所属していた佐川急便大阪SCに加入。プレーしながら家業の手伝いを始め、同年に引退したことで本格的に事業に携わるようになった。
「価格」ではなく「接客」が強み
当初、家業のリサイクルショップがメインで扱っていたのは電化製品や家具だった。しかし、それらは大きな商品であるため、店頭に並べられる数に限りがあり、経営効率が悪い。そこで嵜本社長が目を付けたのが、小さくて高単価の商材であるブランド品だった。
そして2007年、大阪に10坪程度のブランド品買取専門店「なんぼや」をオープン。嵜本社長は、早くから既存のリユース事業者のあり方に疑問を抱いていた。
「質店や買取店はブランド品を扱う業態であるにもかかわらず、当時は店舗空間が簡素。さらに、お客様に対して上から目線で査定価格を提示し、その場で売るか売らないか、即決を迫るような姿勢も見られました。また、お客様にとって、質店や買取店に行くのは何となく後ろめたい、悪いことをしているかのような気持ちにさせる場所になっていました」
嵜本社長は鑑定士として「なんぼや」の店頭に立ちながら、接客を重視し、顧客との信頼関係を築くことに力を注いだ。
「商売の基本は『顧客満足度の高さ=粗利の大きさ』。価格重視ではなく、接客重視の新しいリユース店をつくれば、勝てると感じました。リユースは、同じモノであっても同じ買取価格になることはありません。それは商品状態に加え、所有していた人の思い入れや価値観、モノとの出会いから別れまでのストーリーがそれぞれ異なるからです。それらを含めて、その人に合った金額を提示するのが鑑定士の仕事。そう考えて接客に力を注いだ結果、他の質店よりも低い査定価格を提示した時でも、『あなたに売ります』と選んでいただけることが増えていきました」
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