スポーツが地域に根差すために 企画力や収益力が課題

3月28日、参議院議員会館でスポーツコミッションセミナーが開催された。SCJの活動実態についてのアンケート調査結果を踏まえ、全国からの参加者とともに、組織の役割や今後の展開について議論を交わした。

セルジオ 越後氏(日光アイスバックス シニアディレクター、[一財]日本スポーツコミッション顧問)

(一財)日本スポーツコミッション(以下、SCJ)では、地域づくり、地域の活性化の視点から、スポーツを競技スポーツのみならず、健康維持・増進からレクリエーション、体育、余暇活動等を含む身体活動すべてと捉えて活動している。

スポーツ庁参事官(地域振興担当)の増井国光氏は、「2年前の調査では50ほどだったSCが99にまで増えた。あと2年で170に伸ばしたい」と挨拶。来賓の石井浩郎参議院議員は、「世界レベルで活躍する日本選手が増えてきたが、大きな国際大会の開催はまだ少なく、生涯獲得賞金も海外に大きく劣る。いつか、『日本に行けば夢がある』と言われるように。また、人生100年時代に向けてスポーツを盛り上げたい」と述べた。

石井 浩郎氏(参議院議員)

経済発展と種目文化で失った
「出会い」を取り戻そう

基調講演では、SCJ顧問でもある日光アイスバックス・シニアディレクターのセルジオ越後氏が、地域の活性化に資するスポーツ活動とは何かをテーマに話した。来日当初、日本の"種目文化"に戸惑いを覚えたようだ。

「サッカー部が使っているグラウンドに野球部が来たら追い出してしまう。ブラジルなら一緒にやる。いろいろな友達と話したことが社会に出てから役立つものだ。私も引退後にスポーツ種目を問わず、色々な立場の人たちと出会えたおかげで磨かれた」(越後氏)。

出会いがビジネスを生むと感じていた越後氏は、古河電工アイスホッケー部の再興を託され、あえて畑違いの道に進んだ。サポーター達から「このチームなくなったら、会えなくなる」との言葉に心を動かされた。「企業は業績が悪くなると廃部にするし、どんなに強い選手でも引退すればまちを出ていってしまう。ところが、観客は地域に住んでいる人達だから、友達になりコミュニティをつくる。アメリカなら地元で寄付を集め、"我がチーム"という意識を持って応援する。皆さんも、おごられた時より割り勘のほうがいっぱい食べるでしょ?」と笑いを誘いながら、海外と日本のスポーツに対する見識の違いを指摘。そして、ボランティアという自発的精神の大切さをアピールし、障がい者スポーツにも興味を持ってほしいと語った。「たとえば、片足がないけれどスポーツを頑張っている人だと教えれば、子どもにとっては尊敬の対象になる。彼らと支え合う習慣を日常生活にも持っていけば、高齢化社会の役にたつのでは?」と語り、経済発展と引き換えに失った出会いや絆を取り戻すために、スポーツの力を活かそうと呼びかけた。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り55%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。