和食の発想でチョコレートを「再解釈」 今話題の店舗を実現

サードウェーブのコーヒーブームと軌を一にして都心で増えているのが、Bean to Barと呼ばれるチョコレート専門店だ。その先陣を切る「Minimal-Bean to Bar Chocolate-」の山下貴嗣代表は、日本人の感性でチョコレートを再解釈することで、事業を成長させてきた。

文・矢島進二(日本デザイン振興会)

 

山下貴嗣 βace代表取締役 ソーシャルインパクトとビジネスインパクトの同時創造を目指している

Bean to Barとは、カカオ豆の仕入から選別・焙煎・摩砕・調合・成形までのチョコレート製造工程の全てを自社工房で一貫して行う業態を指す。日本でその代表的なブランドとして認知されているのが「Minimal」だ。2014年12月に1号店をオープンし、現在は都内4店舗まで拡大。その品質は世界からも評価され、インターナショナルチョコレートアワードで最高賞を獲得し、2017年にはグッドデザイン特別賞(ものづくり)を受賞している。

Minimalの運営会社は株式会社βace。山下貴嗣代表に名付けの意図を聞くと「試行錯誤をしながら実行していくというβ版と、コミュニティのBase(基地)、そしてそこからace(一級品)を作り出すという3つの想いで名付けました」と述べる。

山下氏は岐阜県出身で、ものづくりに興味をもった契機は建築士の父親だという。「小学校の時に一軒家に引っ越したのですが、お化け屋敷かと囁かれるほど古く、手を入れないと住めない状態でした。そうした中、父親は改築図面をとても楽しそうに描いていたのです。その姿がとても印象的で、自分の手でものをつくること、そして美しさにこだわり抜くことに、感銘した記憶が鮮明に残っています」

1984年生まれの山下氏はいわゆる『谷間の世代』であり、デフレと不景気がデフォルトの時代に育った。「そのため小さくまとまる傾向があるとか、被害者ぶる人が多いと言われてきましたが、前の世代の成果を食い潰すのは嫌なので、自分で何かを生み出したいと考えていました」と振り返る。

大学では商学部で経営の基礎を学び、卒業後は経営コンサルティング会社に入社。「担当していたグローバル人材育成事業では、仕事が趣味と言えるぐらい、とても楽しく働いていました」と言うが、30歳を目前にした2014年に退社し、起業の道を選んだ。

2号店の銀座店。現在は都内4店舗を運営

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